令和グループ(ISOコンサルティング)

【ISO14001解説】4.1 組織及びその状況の理解とは?事例でわかる実践ポイント

 

なぜ「組織とその状況の理解」が必要なのか?

 

ISO14001では、環境マネジメントシステム(EMS)を形だけ整えるのではなく、実際に効果のある仕組みを作ることが求められています。

その第一歩が、「自分たちの組織がどんな状況にあるのかを理解すること(4.1)」です。

 

企業を取り巻く環境は、日々変化しています。法規制、地域の声、取引先の要望、気候変動、そして社内の体制や文化――。
こうした要素を無視してシステムを作ってしまうと、絵に描いた餅になってしまいます。

 

だからこそ、まずは**「外部」「内部」両方の状況をしっかり見つめること**が大切なのです。

 

 

どんなことを把握すればいいの?

 

ISO14001の4.1では、具体的に以下のような視点で状況把握を求めています:

 

【外部の状況】

  • 環境関連の法律や規制(例:産業廃棄物の処理基準)
  • 地域社会からの期待や不安(例:「工場の騒音が気になる」)
  • 顧客や取引先からの要望(例:「CO2削減の取り組みを見せてほしい」)
  • 業界の動向(例:プラスチック使用削減の潮流)

 

【内部の状況】

  • 自社の設備・技術の状況(例:古いボイラーによる排ガス問題)
  • 組織の文化や意識(例:環境意識の高まり)
  • 資源や予算の制約(例:更新にかけられる費用)

 

これらを洗い出しておくことで、**「自社にとって本当に必要な環境対策とは何か?」**を見極めることができるようになります。

 

 

事例紹介:印刷会社の実践

 

ある中小の印刷会社では、住宅街の中に工場があり、印刷インキの臭い機械の音について近隣住民から苦情が出ていました。

 

一方で、大手取引先からは「サプライチェーン全体での環境配慮」が求められ、電力使用量やCO2排出の管理が必須になってきたのです。

 

この会社では、次のような施策を実行しました。

  • 臭気フィルターの設置
  • 夜間稼働の制限
  • 電力使用量の見える化と改善目標の設定

 

これらは、すべて「組織とその状況を把握した上で設計したEMS」の結果です。
つまり、ISO14001の4.1に沿ったアプローチが、地域からの信頼やビジネス継続にもつながったのです。

 

 

まとめ:4.1は「環境マネジメントの土台」

 

ISO14001の4.1は、派手な取り組みではありません。しかし、この土台がしっかりしていないと、EMSはうまく機能しません。

 

「今、自分たちはどんな状況にあるのか?」
「どんな外部要因、内部要因が影響を与えているのか?」

 

このような問いかけから始めることで、現実に即した、無理のない、持続可能なEMSが構築できるのです。

 

 

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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