【ISO14001解説】利害関係者のニーズや期待をどう理解すべきか?~騒音や悪臭も立派な「環境リスク」~
ISO14001を導入・運用するうえで、利害関係者のニーズおよび期待の理解は非常に重要なステップです。とはいえ、「利害関係者って誰?」「何をどう理解すればいいの?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか。
今回は、実務での事例を交えながら、この要求事項をわかりやすく解説していきます。
利害関係者とは、組織に関係する“外の目”
「利害関係者」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、要するに会社の活動によって影響を受ける人や、会社に何かを求めてくる人たちのことです。
代表的な利害関係者には、次のような人・団体が挙げられます。
- 顧客(環境対応商品やグリーン調達を求める)
- 地域住民(騒音や臭気への配慮を求める)
- 従業員(安全な職場やエコな職場環境を望む)
- 親会社や株主(企業の社会的責任への対応を期待)
- 行政や規制当局(法令の遵守を当然と考える)
- NGOや環境団体(CO₂削減や自然保護の働きかけ)
組織は、これらのステークホルダーがどんなニーズや期待を持っているのかを把握し、必要に応じて対応することが求められます。
事例:町工場が気づいた「見えない環境リスク」
ある製造業の現場では、夜間に機械を稼働させる工程があり、地域住民から「音がうるさい」「振動が気になる」といった苦情が届いていました。
この企業がISO14001の取り組みを始めるにあたり、まず取り組んだのが利害関係者の棚卸しです。地域住民を利害関係者の一つととらえ、アンケート調査を実施しました。
その結果、
- 夜10時以降の作業音への不満
- 作業場の排気口からの臭いに関する声
などが浮き彫りに。
これを受けて、
- 稼働時間の見直し(夜間は静音機器のみ稼働)
- 排気フィルターの交換頻度を増加
- 防音壁の設置
といった対策を実施したことで、地域との関係が改善され、行政からの評価も向上しました。
どうやって「利害関係者のニーズ・期待」を把握する?
では、具体的にどうやって利害関係者の声を拾えばよいのでしょうか?
以下のような方法が有効です:
- クレームや要望の記録を整理する
- 顧客や仕入先との会議で環境に関する話題が出たら記録する
- 地域との意見交換会を開く
- 社内のアンケートで従業員の視点を把握する
ポイントは、「どこまで対応する必要があるか?」の線引きです。
すべての期待に応える必要はありませんが、組織にとって“順守義務”につながるものや、重大な影響を与える可能性があるものは、対応すべき事項と判断されます。
まとめ:利害関係者の声に耳を傾けることが、環境経営の第一歩
ISO14001の4.2では、自社の内側ではなく「外の目」に目を向けることが求められています。利害関係者のニーズや期待を把握し、重要なものを取り入れることで、トラブルの回避や企業イメージの向上につながります。
組織の信頼性を高め、地域や社会との共存をはかるためにも、「利害関係者の声」に耳を傾ける姿勢を持ちたいものです。
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