ISO9001コンサルタントの視点による”ISO9001”序文における「PDCAサイクル」とは?
品質を高める継続的改善の基本
ISO9001の中核的な考え方の一つに「PDCAサイクル」があります。これは、品質マネジメントシステムを継続的に改善していくための枠組みであり、企業活動全体に広く適用されるべきものです。
この記事では、PDCAサイクルの基本的な意味から、それぞれのステップでの実践ポイント、そして適用範囲まで、ISO9001の視点でわかりやすく解説します。
PDCAサイクルとは何か?
PDCAとは、以下4つのステップの頭文字を取ったマネジメント手法です。
- P(Plan:計画)
- D(Do:実行)
- C(Check:評価)
- A(Act:改善)
この4つのステップを繰り返すことによって、業務プロセスの継続的改善を図ることができます。
特にISO9001では、PDCAを「一度限りの活動」ではなく、「繰り返し継続するスパイラルアップの活動」として捉えることが重要とされています。
各ステップのポイント
Plan(計画):何をどう改善するかを明確に
まずは「何をすることが有効か(目標)」を定めるステージです。
以下のような項目を考慮することで、実効性の高い改善計画を立てることができます。
- 改善対象となるプロセスの目的
- 得たい成果とその評価方法(KPIなど)
- 責任者や関係者
- 実施スケジュール
- リスク及び機会の洗い出しと対策
なお、1回のPDCAで理想的な成果を得ることは難しいため、「段階的な改善」を前提とした計画が有効です。
Do(実行):計画に基づき行動し、記録を残す
計画通りに実行していく段階です。この時に重要なのは、進捗や結果を記録として残すことです。
- 実施内容を記録して見える化
- 計画と異なる点やトラブルがあった場合は原因を明確にする
記録は次の評価(Check)段階において不可欠な材料になります。
Check(評価):成果の分析と問題点の抽出
Doの結果を評価し、「うまくいった理由」「うまくいかなかった理由」を整理します。
- 成果が目標通り達成されたか?
- 成功要因は何だったか?
- 未達成の場合はその原因は何か?
この分析が、次の改善(Act)に向けた方針づくりに直結します。
Act(改善):次のサイクルへ進化させる
Checkで得た知見をもとに、改善策を講じ、次のPlanに反映させます。
- 課題への対応策を立てる
- 成功要因は標準化し、他の業務にも活用
- 次のPDCAでより高い成果を目指す
PDCAは「1回やって終わり」ではありません。常に改善を繰り返す姿勢が、品質マネジメントシステムの本質です。
PDCAサイクルの適用範囲は?
ISO9001では、PDCAサイクルは「あらゆるプロセスおよび品質マネジメントシステム全体に適用できる」と明記されています。
たとえば:
- 組織全体の品質マネジメント
- 設計開発や製造プロセス
- 顧客対応プロセス
- 教育・人材育成プロセス
など、すべての業務プロセスにPDCAを活用することが可能です。
各プロセスのPDCAが連動し、全社的な品質向上に繋がるようにマネジメントすることが、ISO9001の求める姿です。
まとめ:PDCAサイクルは「回して終わり」ではない
PDCAサイクルは、ただ回すだけでは意味がありません。評価し、改善し、次に活かすことによって、企業や組織は着実に成長していきます。
ISO9001を形だけの認証で終わらせず、「現場に根付いた仕組み」にするためには、PDCAをいかに上手に活用するかがカギです。
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