令和グループ(ISOコンサルティング)

ISO9001審査でよくある不適合とは?〜実際の指摘事例と未然防止のための対策をわかりやすく解説〜

 

はじめに:不適合が出たらどうしよう?という不安に答えます

 

「ISO9001の審査って、何を見られるの?」
「不適合が出たら認証はもらえないの?」

 

初めてISO認証を受ける企業にとって、**“審査”=“減点評価”**のように思えるかもしれません。しかし実際には、審査とは“できていない点を見つけて、改善するチャンス”なのです。

 

この記事では、ISO9001審査でよくある不適合・指摘の具体例と、それらを未然に防ぐ実践的な対策について解説します。

 

 

「不適合」とは?「指摘」や「観察事項」とどう違う?

 

まず用語の整理から始めましょう。

 

用語

意味

不適合(Nonconformity)

規格や自社ルールに対して実際の運用が合っていない状態

観察事項(Observation)

現時点では問題ではないが、将来的に不適合につながる恐れがある

改善の機会(Opportunity for improvement)

よりよくするための提案・アドバイス(義務ではない)

 

不適合が出ても、是正処置を適切に行えば、認証は取得可能です。
重要なのは、「事実を受け止めて、改善する姿勢を持つこと」です。

 

 

審査でよくある不適合の具体例【カテゴリ別】

 

以下に、実際の審査現場でよく見られる指摘の一例を紹介します。

 

文書・記録の不備

  • 最新版の手順書が現場で使用されていない
  • 教育記録が見つからない
  • 作業記録に空欄や誤記がある

背景: 文書管理ルールの曖昧さ/属人的運用/更新漏れ

 

内部監査の形骸化

  • 年度内に実施されていない
  • 指摘事項に対する是正処置が未完了
  • チェック内容が浅く、実態が把握できていない

背景: スケジュール管理不足/目的の不明確さ

 

是正処置の不十分さ

  • 原因分析が「人為ミス」で止まっている
  • 再発防止策が「注意喚起」だけ
  • 是正後の効果検証がされていない

背景: 形式対応/「なぜなぜ分析」の未活用

 

教育と力量管理の不足

  • 教育記録がない、または古い
  • 作業者の力量基準が曖昧
  • 教育は実施しているが記録に残していない

背景: 記録管理の意識不足/教育計画の未整備

 

顧客対応の曖昧さ

  • クレームが口頭処理で記録されていない
  • 是正処置に結びついていない
  • 顧客満足度の評価が実施されていない

背景: 対応はしているが「証拠」がない

 

 

なぜ不適合が出るのか?3つの共通原因

 

  • “書類中心”で運用が伴っていない

実際には運用されていないマニュアルや手順書だけが残っている状態。

 

  • “誰がやるか”が決まっていない

責任分担が不明確で、「気づいた人任せ」になっている。

 

  • “記録”の意味が理解されていない

「記録=残せばいい」となっており、中身の精度や信頼性が不十分。

 

 

不適合を未然に防ぐための5つの実践対策

 

① 文書・記録のルールをシンプルに明文化

「誰が」「どの文書を」「どこに保管するか」を具体的に明記。

 

② 内部監査を“本気でやる日”に設定

年1回でもよいので、チェックリストと責任者を明確にして実施。

 

③ 是正処置は「なぜなぜ分析」で掘り下げる

「注意する」ではなく、「どうすれば再発しないか?」まで議論。

 

④ 教育は“理解度確認”までセットに

ミニテスト、作業観察、OJTレポートなど、実行できているかを確認。

 

⑤ クレームやヒヤリ事例はExcelで簡易記録

フォーマットはシンプルでよい。とにかく記録を「習慣化」すること。

 

 

指摘を受けたときの正しい対応方法

 

✅ Step 1:事実確認(現場・記録)

まずは指摘内容が「事実かどうか」を落ち着いて確認。

 

✅ Step 2:原因分析(なぜなぜ)

「なぜそれが起きたのか?」を3〜5回の“なぜ”で深掘り。

 

✅ Step 3:是正処置(再発防止)

「再発しない仕組み」を具体的に。ルール変更や教育強化が有効。

 

✅ Step 4:審査員との対話

意図を聞き返し、「どこまでの対応を期待しているか」を確認。
反論ではなく、対話で“理解”を深める姿勢が重要です。

 

 

成功事例から学ぶ:小さな工夫で大きな差

 

  • A社:是正処置の見直しで2年連続不適合ゼロ

原因分析を深掘りし、再発防止まで徹底。指摘ゼロの好結果に。

 

  • B社:記録ルールをA4一枚に簡素化

担当者の記録ミスが激減。監査時の提出もスムーズに。

 

  • C社:“現場に見えるISO”を実現

掲示物や朝礼で手順の共有を徹底。「監査が怖くない現場」に。

 

 

令和グループのサポートで安心の審査対応を

 

当グループでは、審査を「成果につながる改善の場」として活用できるよう、以下の支援を行っています:

  • 模擬審査・事前レビュー
  • 不適合リスク診断(業種別)
  • 是正処置の内容添削支援
  • 指摘対応トレーニング(審査員とのやり取り練習)

 

 

 

まとめ:不適合は“改善のきっかけ”

 

ISO9001の審査で不適合が出ること自体は問題ではありません。
大切なのは、その指摘から何を学び、どう改善につなげるかです。

 

準備を怠らず、現場と一緒に仕組みを見直すことで、審査は“怖いイベント”ではなく、“組織を強くするチャンス”になります。

 

ぜひ今回ご紹介した事例や対策を参考に、実践につなげてみてください。

お気軽にお問い合わせください。

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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