令和グループ(ISOコンサルティング)

ISO導入の成功事例|製缶業が変わった現場主導の仕組みづくり〜“やらされ感”をなくした、使えるISOのリアル〜07

 

ISOってうまくゆくのかな?とお考えではありませんか?今回は、ISO導入による前向きな変化と成功のポイントをご紹介します。

 

「ISOって、やっぱり面倒くさいだけじゃないの?」

 

これは、ISO9001の導入を検討している製造業の経営者から、よく聞く言葉です。
書類が増える、手順が細かすぎる、現場に定着しない――。

 

実際、ISOを「形だけ」で導入し、数年後には完全に形骸化してしまった…という事例も少なくありません。

 

でも、逆に””社に合った使える仕組み”としてISOを構築したことで、会社全体が良い方向に変化した事例””もあります。

 

今回は、ある製缶業(従業員約20名)の現場で起きた、
ISO導入による前向きな変化と成功のポイントをご紹介します。

 

 

1.    導入前の課題:「ISO=負担」のイメージが根強かった

 

この会社では、過去に別部門でISOを導入しようとしたものの、
現場の強い反発で頓挫した経緯がありました。

 

当時の主な課題は以下の通りです:

  • 文書作成や記録業務が増えるという不安
  • 現場が「ISOは現場の仕事を知らない人が作るもの」と考えていた
  • ベテラン作業者の勘と経験に頼りきり、若手への技術継承が進まなかった
  • 顧客から「ISO取得企業との取引を優先する」と言われ、対応を迫られた

 

▶ つまり、「やるしかない。でもやりたくない」という状態だったのです。

 

 

2  支援の進め方:4ステップで“現場主導”を徹底

 

当社が支援に入るにあたり、まず大切にしたのは、
“”「現場の声を聞くこと」「ISO用語を使わないこと」””の2点でした。

 

◎ ステップ1:現場ヒアリングと業務の棚卸し

まずは実際の現場作業を見学しながら、

  • 誰が、何を、どんな順番で行っているのか
  • どこでミスが起きやすいか
  • どんな帳票やノートを使っているか

をヒアリング・観察しました。

 

▶ 結果、現場が普段から行っている良い取り組みが多数見つかり、
「これを文書化すればいい」というベースが見えました。

 

◎ ステップ2:現場の言葉でシンプルに構築

ヒアリング内容をもとに、作業手順書や記録様式を作成。

  • 難しいISO用語は一切使わず、日常会話レベルの言葉を使用
  • 手順書には実際の製品写真や道具の画像を挿入
  • フローチャートではなく「箇条書き+写真」で直感的に理解できる形式に

 

▶ 「これなら新人にも説明しやすい」という現場の声が上がりました。

 

◎ ステップ3:記録は“使えるもの”だけに厳選

  • もともと「とりあえず記録を残せ」と言われていた様式はすべて見直し
  • 実務で本当に必要なチェックポイントだけを記録
  • 記録内容が後から集計・振り返りに使えるよう、フォーマットも改善

 

▶ 記入負担が減り、””「記録=役に立つもの」””という認識が広がりました。

 

◎ ステップ4:教育と改善を“つなげる”仕組みに

  • クレーム発生 → 原因分析 → 是正内容を手順書に反映
  • 変更点を朝礼やミニ勉強会で共有し、「教育記録」としても活用
  • 改善提案も仕組みの中に組み込み、「現場の気づき」を広いやすくした

 

▶ 「うちの仕事のやり方は、ちゃんと反映されている」と現場の納得度が高まりました。

 

 

3. 導入後に起きた“5つの変化”

 

🌟 ① 新人教育が効率化・短縮化

写真付きの手順書を使うことで、作業の流れを短時間で習得可能に。
「言葉だけでは伝わらないこと」が可視化されたことがポイントでした。

 

🌟 ② ベテランの技術が“見える化”された

「勘でやっていた作業」を改めて説明・記録してもらうことで、
技術の標準化と継承の第一歩となりました。

 

🌟 ③ クレーム件数の減少

作業標準の整備と記録の活用により、ヒューマンエラーが減少。
再発防止策も確実に現場へ展開されるようになりました。

 

🌟 ④ 報連相がスムーズになった

「書くべき内容」「共有すべき情報」が明確になり、
言った言わない・伝わっていない問題が激減。

 

🌟 ⑤ ISOが“使える仕組み”として根づいた

当初は「義務」「形式」として見られていたISOが、
現場の中で自然に使われる仕組みに変化しました。

 

 

4. 成功のポイント:「現場でつくり、現場で使う」

 

この会社が成功した最大の理由は、現場を主役にしたことです。

  • 「やらされている」のではなく、「一緒に作っている」
  • ISOが会社の外のものではなく、「うちのやり方」として認識された
  • 結果的に、支援終了後も仕組みが自走し始めた

 

▶ ISOは、現場で動いて初めて“活きた仕組み”になります。

 

 

形だけのISOから、“強み”としてのISOへ

 

ISO9001は、単なる認証制度ではありません。
自社の業務と社員の力を活かす“仕組みづくりのツール”です。

 

製缶業のように、多品種少量・短納期・人の技術に頼る現場でも、
“自社に合った使い方”をすれば、確かな成果が出ます。

 

今のISOが形だけで終わっている方、これから導入を検討されている方は、
ぜひこの事例をヒントに、**「うち流の使えるISO」**を目指してみてください。

 

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「ISOは面倒」「現場にはなじまない」──そんな思いを覆した、製缶業の成功事例。

文書や記録を現場の言葉で再設計し、実際の作業フローに即したシンプルな仕組みを構築。

写真付き手順書や最低限の記録様式が定着し、教育の効率化やクレーム削減にもつながりました。

ポイントは、“やらされ感”を排除し、現場と一緒に仕組みを作ったこと。ISOが「使える道具」として、会社の強みに変わった瞬間でした。

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