令和グループ(ISOコンサルティング)

ISO9001の内部監査員教育って何をするの?教育方法と資料のヒント

 

ISO9001を取得したあとに欠かせない活動の一つが「内部監査」です。

 

しかし、社内で初めて内部監査を担当する方の中には、

  • 「監査員って何をするの?」
  • 「教育って何を教えれば良いの?」
  • 「資料はどう作ればいいの?」

といった不安や疑問を持つ方も少なくありません。

 

この記事では、内部監査の基本から、監査員に必要な教育の進め方、さらには活用できる資料のヒントまでを、わかりやすくご紹介します。

 

 

内部監査とは?なぜ必要なのか

 

ISO9001の規格では、内部監査は必須の活動とされています。

 

 

これは単に「形としてやる」のではなく、自社のマネジメントシステムが、計画通りに機能しているかを評価し、継続的改善につなげるための重要な手段です。

 

社内で行うこの監査を有効に機能させるためには、監査員の力量が大きく関係します。

 

内部監査がうまくいかないケースの多くは、監査員が何を見ればよいのか分からないまま実施してしまうことに起因します。

 

 

内部監査員に求められる役割とは

 

内部監査員には、次のような役割が求められます。

  • 業務を理解したうえで、客観的に評価すること
  • ルールとのギャップを的確に把握すること
  • 指摘だけでなく、改善につながる視点を持つこと

 

単なる「チェック係」ではなく、現場と経営をつなぐ橋渡し役とも言えます。

 

そのためには、ルール(規格)を知っているだけでなく、業務プロセスの全体像や社内の文化への理解も必要になります。

 

 

内部監査員教育で教えるべき内容

 

内部監査員を育てるには、以下のような内容をバランスよく教育することが大切です。

 

  1. ISO9001の基本構造と用語
  • 「品質マネジメントシステムって何?」
  • 「適合・不適合とはどういう意味か?」

など、ISOの基礎知識をわかりやすく解説することから始めます。

 

  1. 内部監査の流れ

監査は以下の流れで進みます。

  • 監査計画の立案
  • 監査チェックリストの作成
  • 実施(現場ヒアリング、文書確認など)
  • 報告書作成・指摘事項の説明
  • 是正処置のフォローアップ

この一連の流れを、具体的にイメージできるように解説します。

 

  1. 質問の仕方・聞き取りスキル
  • 現場でのインタビュー技術
  • 「なぜ?」を掘り下げる問いかけ方
  • 被監査側との信頼関係を壊さない伝え方

など、現場で役立つコミュニケーションのコツも重要です。

 

  1. 不適合の記録と表現のしかた
  • 感情的にならず、事実ベースで記録する
  • 改善提案を含めた「伝わる指摘」のコツ

これらを具体的な事例を用いながら教えると、理解が深まります。

 

 

教育の進め方:実践的な研修方法

 

単なる座学で終わってしまうと、実際の監査では使えない知識になってしまいます。

そこでおすすめしたいのが、実践的なロールプレイ研修です。

 

たとえば:

  • 講義:ISOの基本や監査の流れを座学で習得
  • 模擬監査:チェックリストを使って実際にヒアリング練習
  • フィードバック:良かった点・改善点を講師や参加者間で共有

 

このように、「話を聞くだけ」ではなく、手を動かして体験する教育が、最も効果的です。

 

また、講師を外部に依頼する場合と、社内で実施する場合では、以下のような違いがあります。

 

項目

外部講師

社内講師

専門性

高い

限定されることも

実務適用

現場事情に即しにくいことも

社内文化に沿って伝えられる

コスト

高め

抑えられる

 

理想は、外部の専門家に導入支援を受けた後、社内で継続的に教育を内製化していく形です。

 

 

教育に使える資料のヒント

 

教育用資料も、なるべく現場感のある内容にすると効果的です。

 

使える資料例:

  • PowerPointスライド:ISO用語の解説、監査の流れなど
  • チェックリスト:実際の監査に使えるテンプレート付き
  • ロールプレイ用シナリオ:架空の事例で模擬監査を体験
  • 教育記録様式:実施履歴として保管するフォーマット

 

これらの資料をもとに、「1回きりで終わらない教育」を設計することが大切です。

 

 

教育後に必要なフォローアップ

 

内部監査員教育は、受けただけで終わりではありません。

 

以下のようなフォロー体制があると、監査の質が一段と向上します。

  • 最初の監査をベテラン監査員がサポートする
  • 教育後のレポート提出・レビューの仕組みを作る
  • 定期的に振り返りや再教育の機会を設ける

 

「学びっぱなし」ではなく、実務で活かす仕掛けが重要です。

 

 

まとめ:実践的な教育で、信頼される内部監査員を育てよう

 

内部監査員は、組織の品質マネジメントシステムを支える存在です。

 

その育成は、単なる知識の詰め込みではなく、現場で使えるスキルを身につけることがカギとなります。

  • 実務に即した教育内容
  • わかりやすい資料
  • 継続的なフォロー体制

 

これらを整えることで、ISO9001の内部監査が「単なる義務」から「改善のチャンス」へと変わります。

 

 

✅ お困りの方へ

 

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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