ISO9001 社員教育は何をすればよい?〜教育の目的・記録の扱い・成功事例をまじえて解説〜
はじめに:「教育=記録を残すこと」になっていませんか?
「ISOを取るには社員教育が必要らしいけど、何を教えればいいの?」
「とりあえず出席簿と記録だけ残しておけばいいのかな……?」
これは、ISO導入を検討する中小企業からよく聞く声です。確かにISO9001では「社員の教育・力量」が求められますが、**本来の目的は“記録を残すこと”ではなく、“社員が正しく理解し、行動できるようになること”**です。
この記事では、ISO9001における社員教育の目的と進め方、実際の成功事例まで、わかりやすくご紹介します。
ISOが求める社員教育とは?
ISO9001では第7.2項において、組織が「必要な力量を明確にし、それを満たすために教育などの手段を講じること」が求められています。
では、なぜ教育が必要なのでしょうか?
それは、次の2つを実現するためです:
- 社員が自分の役割を理解し、品質に責任を持って行動できるようにすること
- 業務を標準化し、誰でも一定の品質を維持できるようにすること
つまり、「ただ知識を与える」のではなく、「業務に活かせる理解と行動につなげる」ことが重要なのです。
社員教育では、何を教えるべきか?
社員教育は対象ごとに教える内容が異なります。以下の表は、役割別の教育内容と効果的な進め方の例です。
対象 |
教育内容 |
進め方 |
全社員 |
ISO9001の概要、品質方針、自分の役割 |
全体説明、動画教材、配布資料 |
現場担当者 |
作業手順の理解、記録の扱い方 |
OJT(実務研修)、ロールプレイ |
管理者 |
是正処置、目標管理、内部監査 |
勉強会、ケーススタディ、社内会議 |
実際の現場での工夫:
- 1分間ミニ教育:朝礼で1テーマだけ共有し、少しずつ浸透
- ポスター掲示:品質方針や作業ポイントを見える場所に掲示
- クイズ形式:手順書から3問だけ出題する「振り返りクイズ」
これらの工夫により、座学では難しかった理解の定着が見込めます。
教育記録はどう残すべきか?
ISO9001の審査では、教育を「実施した証拠」として教育記録が求められます。
ただし、形式的な記録だけで中身が伴っていないと、逆に指摘されることもあります。
教育記録のポイント:
- 誰に(対象)
- 何を(内容)
- いつ(実施日)
- どのように(方法)
- その結果(理解の確認)
記録の方法はシンプルで構いません。たとえばチェックリストや出席簿、テスト結果など。
理解度の確認も、口頭確認や作業の観察で代用できる場合があります。
中小企業の成功事例3選
- A社(製造業):社員が“自分の言葉”で手順書を作成
ISO導入時に、手順書を外部任せにせず、現場リーダーが自分たちで作成。
「このやり方であれば新人にも教えやすい」「実際に使える」と、教育の納得度が上がりました。
- B社(建設業):スマホ動画で若手の参加率UP
現場が忙しく集合教育が難しい中、スマホで見られる短時間動画(3分以内)を活用。
自由な時間に視聴できるため、若手社員の理解度が格段に向上。
- C社(サービス業):朝礼教育で“習慣化”に成功
毎週月曜の朝礼で1テーマを設定し、全員で5分間のミニ教育。
教育記録もA4半分の簡易シートで管理。月末にまとめてファイリングする方式で手間も最小限。
社員教育の導入で気をつけるべき点
- 押し付けにならないこと
「またISOか…」とならないよう、自分の業務にどう関係するかをセットで伝えましょう。
- 教育する側の理解不足に注意
教育担当者が内容を正しく理解していないと、誤った情報が拡がってしまいます。
- 目的は“記録を残す”ことではない
記録よりも、「わかりやすかった」「やってみようと思えた」という感覚が大切です。
まとめ:社員教育こそ、ISOの“根幹”です
ISO9001は仕組みの整備だけでなく、それを運用できる人づくりがあってこそ効果を発揮します。
その第一歩が、現場に根づいた教育です。
「教育は苦手」「時間がない」という方も、無理のない形で始める工夫をすることで、着実に定着していきます。
ぜひ、自社にあった“シンプルで使いやすい教育のかたち”を、一緒に考えてみませんか?
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