ISO9001 文書・記録の効率的な管理方法とは?〜最小限で運用できる“シンプル管理”のコツを解説〜
はじめに:ISOの運用で、こんな悩みありませんか?
「記録はあるけど、どこに何があるか分からない…」
「気づいたら書類だらけで、誰も見ていない」
「最新版が誰のPCにあるのか分からない」
ISO9001を導入した企業で、よく耳にする“文書管理の悩み”です。
せっかく仕組みを作っても、記録や文書が管理しきれない状態では、運用が停滞し、現場にとって「面倒なだけの仕組み」になってしまいます。
この記事では、ISO9001における文書・記録の管理の基本と、**中小企業でも無理なくできる「最小限・シンプルな管理方法」**を、事例を交えて解説します。
ISO9001が求める“文書・記録”の管理とは?
ISO9001の第7.5項では、**「文書化された情報(Documented Information)」**の管理が求められています。
ここでの「文書」と「記録」は、目的が異なります。
種類 |
目的 |
例 |
文書 |
やり方を定めるためのもの(ルール) |
方針書、手順書、マニュアル |
記録 |
やったことの証拠(実績) |
点検表、教育記録、会議記録 |
ポイントは、“完璧な文書”を作ることではなく、「現場で運用できる」「必要なときに見つけられる」状態にすることです。
書類が増えてしまう原因とは?
ISO運用が長くなるほど、「とりあえず残しておこう」「増やしたけど誰も見ない」といった“情報の膨張”が起こりがちです。
よくある原因 |
対策のヒント |
不要な様式が残っている |
年1回、棚卸しをして削除・統合する |
各部門がバラバラに書類を作る |
文書管理責任者を明確にする |
紙とデジタルが混在して探せない |
台帳を整備し、所在を可視化する |
最小限で運用できる“シンプル管理”のステップ
Step1:必要文書・記録の棚卸しと分類
まず、「今ある文書・記録」を全部洗い出します。
そして、次の3つに分類しましょう。
- 方針(トップの考え方)
- 手順(作業の進め方)
- 記録(やった証拠)
これだけで、どの書類が必要か/不要かが明確になります。
Step2:命名ルールと保存場所をルール化
検索性を高めるには、**“誰が見ても分かる名前”と“決まった場所”**が大切です。
例:
- ファイル名 → 2025_品質記録_出荷点検
- 保存先 → 共有フォルダ > 品質管理 > 記録
部署単位でフォルダを分けるのもおすすめです。
Step3:保存期間と廃棄ルールを決める
ISOでは、記録の「保存期間」まで管理する必要があります。
記録の種類 |
保管期間(例) |
教育記録 |
3年 |
製品検査記録 |
5年 |
会議議事録 |
1年 |
不要な記録をずっと残すと管理が煩雑になるため、「いつ廃棄するか」を明記しておくことが重要です。
Step4:更新履歴とアクセス性を意識する
「最新版がどれか分からない」はよくあるトラブルです。
この防止には:
- ファイル名にバージョン or 日付をつける(例:手順書_Ver3_2025.04)
- 旧版は「アーカイブ」フォルダに移す
- 閲覧専用フォルダを作り、編集者を制限
こうしたルールがあるだけで、文書の混乱は劇的に減ります。
実際に効果があった中小企業の事例
- 製造業A社:紙記録を“日付+記録名”で管理
出荷記録を「2025.05_製品チェック表」のように名前をつけて、バインダー1冊にまとめたところ、検索時間が大幅に削減。
- 建設業B社:Excel台帳で記録管理を“見える化”
共有フォルダの中に「記録一覧」Excelを1つ作成し、そこから各記録へのリンクを設定。検索時間を1/3に短縮。
- サービス業C社:月1回の“文書棚卸し”で最新版を維持
管理者が毎月文書を確認し、旧版をアーカイブ。審査でも「最新版の管理が明確」と高評価。
シンプル運用を実現するための小さな工夫
- 書類の右上に「作成日・作成者」を記載
- 教育記録はチェックリスト+サインだけでOK(印鑑不要)
- 紙の記録はバインダーごとに色分け
- 保管場所マップを壁に掲示して迷わせない
令和グループの支援内容:管理しやすい仕組みを一緒に設計します
当グループでは、「文書管理が煩雑になっている」「記録がどこにあるか分からない」という中小企業向けに、以下の支援を行っています:
- 文書の棚卸しと統合・削減支援
- 業種別ひな型(手順書・記録様式など)の提供
- フォルダ構成や文書ルールの設計
- 無料の一日診断で現状の棚卸し+改善提案
まとめ:文書は「多さ」より「使いやすさ」
ISOにおける文書・記録管理は、“数”ではなく“使える状態かどうか”が重要です。
- 少ない文書で、現場にすっと伝わる
- 必要な記録が、すぐに見つかる
- 旧版と最新版が、はっきり区別されている
これが、理想の文書管理の形です。
一度、自社の書類を見直し、“シンプルで運用しやすい形”を目指してみませんか?
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