「トップが動くと、現場が変わる」〜ISO14001におけるリーダーシップと“統合”の本当の意味〜
「ISOは現場任せにしていませんか?」
ISO14001の認証を目指す、あるいは運用を続けている企業にとって、見落とされがちな重要ポイントが**“トップの関与”と“戦略的整合性”そして“業務への統合”**です。
今回は、ISO14001の5.1「リーダーシップ及びコミットメント」に焦点を当て、経営層の役割と環境マネジメントを実効性あるものにするコツを、事例とともにご紹介します。
■ 経営者が関与するとは、どういうことか?
ISO14001の5.1では、経営トップが「環境マネジメントシステムの実行・維持・改善に主体的に関与すること」を求めています。
求められるのは、単なる承認ではありません。具体的には次のような行動です:
- 環境方針や目標の策定に自ら関わる
- 必要な人材・資源・時間を確保する
- 社員に環境の重要性を伝え、意識を高める
- 実施状況をモニタリングし、改善の意思決定を行う
- 組織の戦略や業務プロセスに、環境の視点をしっかり組み込む
これらの要素が揃って、はじめて“リーダーシップとコミットメント”が満たされます。
■ 【要点1】方針と目標が戦略とつながっているか?(5.1 b)
ISOでは、環境方針や目標を「立てること」自体が目的ではありません。
会社の経営戦略や現実の課題とつながっていることが大前提です。
たとえば、次のような目標設定が理想です:
- CO₂排出削減が物流費の最適化にもつながる
- 廃棄物削減が製造コストの改善と直結している
- 海外展開を見据えて環境法規制への対応を先行する
【事例1】戦略につなげた電機部品メーカーの取り組み
ある中堅メーカーでは、当初「紙の使用量削減」や「空調温度の見直し」などが目標でしたが、経営戦略とは無関係で社内の関心も薄い状況でした。
そこで経営層と環境担当者が連携し、次のように再設計しました:
- 「製品のグリーン化」を中期計画に盛り込む
- 再生材料の使用に向けた新素材評価を目標化
- 海外市場向け製品での法規制対応を準備段階から管理
こうした整合的な目標に切り替えたことで、社員の関与度も大きく向上しました。
■ 【要点2】業務に組み込まれているか?(5.1 c)
ISOの本質は、「環境マネジメントを、日常の業務の中で自然に行えるようにすること」。
これが**5.1項目c)「事業プロセスへの統合」**の趣旨です。
たとえば:
- 設計:材料選定時に環境負荷を評価
- 調達:仕入れ先の環境配慮状況を確認
- 製造:省エネ・排水管理を生産管理と一体化
- 営業:顧客へ環境取り組みを訴求
【事例2】建設業の現場が変わった理由
ある建設会社では、廃棄物分別が不徹底で、「環境は環境部門の仕事」となっていました。
しかしISO再認証の指摘を受け、経営者が主導して以下を実行:
- 工事前ミーティングに「環境影響チェック」を追加
- 資材発注時の環境評価フローを標準化
- 社内会議で「環境KPI」の進捗を全員で共有
その結果、現場の分別徹底率が上がり、廃棄物処理費も削減されました。
■ 【要点3】トップの関与が“行動”として見えるか?(5.1 a)
最後に、もっとも基本であり重要なのが、**経営トップの「見える行動」**です。
「やれ」と言うだけではなく、「やっている」姿勢を見せることで、組織は動き出します。
【事例3】町工場の社長が変えた社風
ある町工場の社長は、当初「ISOは現場に任せる」としていましたが、次の行動に踏み切りました:
- 月1回の朝礼で「環境スピーチ」を行う
- 自らマイ容器を使い、紙を使わない取組を推進
- 環境目標の見直し会議に社長として参加し発言
この「見える関与」により、現場が自然と動き出し、ペーパーレス化とコスト削減を実現しました。
■ 統合と戦略整合は「ISOを成果につなげる鍵」
ISO14001のリーダーシップは、「旗を振る」だけでは成立しません。
経営戦略と結びついた環境目標を定め、日々の業務に自然に溶け込む形で組み込む。
これができてはじめて、ISOは“生きた仕組み”になります。
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