【環境リスクもチャンスも見逃さない!】ISO14001「6.1 リスク及び機会への取組み」をわかりやすく解説
環境マネジメントシステム(EMS)を運用していくうえで欠かせない視点が、「リスク」と「機会」です。
ISO14001では、このリスクと機会への取り組みを6.1項で定めています。今回は、その中でも**6.1.1「一般」**に焦点をあて、具体例を交えてわかりやすく解説します。
■ リスクと機会って何?簡単に言うと…
- リスク:悪いことが起きそうな「予兆」。未然に防ぐ対象。
- 機会:改善のチャンス。放っておくと「もったいない」可能性。
📌たとえば:
ある製缶工場では、塗装工程で発生する揮発性有機化合物(VOC)が問題に。
- 【リスク】:法令違反、住民からの苦情
- 【機会】:低VOC塗料へ切り替え→環境負荷削減+コスト削減!
■ リスク・機会を決めるときに必要な4つの視点
ISO14001では、リスクと機会を決めるときに次の4つを必ず考慮するよう求めています:
視点 |
説明 |
製缶業の事例 |
✅ 環境側面 |
自社の活動が環境に与える影響 |
排水、塗料、溶接ヒュームなど |
✅ 順守義務 |
守るべき法令や契約 |
騒音基準、PRTR法、顧客契約 |
✅ 4.1 組織の課題 |
内部・外部の情勢や背景 |
原料高騰、近隣の開発計画など |
✅ 4.2 利害関係者の要求事項 |
顧客・行政・地域からの要望 |
「CO₂排出量の報告をしてほしい」など |
この4つを“視野に入れたうえで”、リスクや機会を洗い出すのがポイントです。
■ 取り組む目的はこの3つ!
ISO14001では、リスクや機会に取り組む目的として次の3点を明記しています:
- ✅ 意図した成果の達成(例:CO₂5%削減の達成)
- ✅ 望ましくない影響の防止・低減(例:土壌汚染や苦情の防止)
- ✅ 継続的改善の実現(例:毎年電力使用量を1%ずつ削減)
このように、リスク・機会の取組みは単なる「リスク対策」ではなく、改善と成果達成のエンジンになるのです。
■ “緊急事態”の見落としに注意!
ISO14001では、潜在的な緊急事態もリスクとして認識する必要があります。
例:
- 有機溶剤の漏えい
- 塗装設備の火災
- 河川への切削油流出
これらは発生頻度は低くても、起これば環境への重大な影響が懸念されます。
**「起こるかも」→「起きたら大変」→「備える」**が基本姿勢です。
■ 小規模事業者でもできる!シンプルな手順
中小企業でも無理なく進められるように、5ステップにまとめました:
- 現状把握:工程フローや法令リストを確認
- 洗い出し:4つの視点+緊急事態でリスク・機会をブレスト
- 優先付け:影響度や発生可能性で整理
- 行動計画化:「誰が・いつ・何をやるか」を決める
- 見直し:進捗チェックや年次更新を行う
■ まとめ|リスクと機会は「攻め」と「守り」の要
6.1.1のねらいは、「リスクは未然に防ぎ、機会はしっかり活かそう」という、守りと攻めの両立にあります。
リスクと機会を適切に管理することが、成果の実現・環境負荷の低減・継続的な成長を支えます。
自社の現場にあてはめて、ぜひ今日から見直してみてください。
📌次回予告
次回は「6.1.2 環境側面の特定方法」について、現場で使える実践ノウハウを解説します。
🔍一日診断で、御社のEMSをチェックしてみませんか?
リスク・機会の洗い出しが不安な方は、**無料の“ISO一日診断”**をご活用ください。
現役の審査員でもあるコンサルタントが、御社の業種や工程に即したアドバイスを提供いたします。
👉 詳細はこちら:
お気軽にお問い合わせください。
ISO(9001/14001)一日診断、認証取得のコンサルタント、現状のシステムの見直しと改善、内部監査教育や支援、ご質問などお気軽にお問合せ下さい。貴社のニーズに合う最善のご提案とサポートをご提供いたします。