ISO14001コンサルタントの視点による|やるべきことが、ちゃんと“やれる仕組み”になっていますか?~ISO14001「6.1.4 取組の計画策定」の実践ポイント~
初めに
ISO14001を運用している組織の中で、こんな悩みはありませんか?
- 計画を立てたけど、現場がまったく動いていない
- 是正や改善策が、リストのままで終わってしまう
- 何となく“やったつもり”になっているが、効果が見えない
それは、「やるべきこと」が「やれる仕組み」になっていないからかもしれません。
ISO14001の**6.1.4「取組の計画策定」**では、まさにこの“実行につながる計画”のつくり方が求められています。
本記事では、規格で求められている内容をわかりやすく分解し、実例を交えて「やれる仕組みづくり」のポイントを解説します。
6.1.4が求める“実行できる計画”とは?
ステップ①:やるべき行動を明確にする
環境側面やリスク、順守義務をもとに「どんな行動を取るか」を決めます。
このときに考えるべきは、次の2つの観点です。
- 技術的選択肢:運用の改善か、新技術・設備の導入か?
- 事業上の要件:費用、作業負荷、スケジュール、他の業務への影響は?
単に「排出削減に努める」と書くだけでは不十分です。誰が、何を、どのように行うかまで落とし込むことが大切です。
ステップ②:やるべきことを“やれる仕組み”に落とし込む
ここが6.1.4のポイントです。
決めた取組を、環境マネジメントシステム(EMS)や既存の業務プロセスにしっかり組み込むことが求められます。
規格では、以下のプロセスとの統合が求められています:
- 6.2:環境目標の設定(KPI化し、進捗を管理)
- 7:支援の整備(教育訓練・役割分担・予算措置)
- 8:運用の計画および管理(手順書や購買ルールへの反映)
- 9.1:監視測定(結果を定期的に確認・記録)
ステップ③:その取組は効果が出ているか?
計画して実施したら、やって終わりではなく、効果検証までがワンセットです。
- 目標は達成しているか?
- 現場に負担や混乱は出ていないか?
- 改善の継続ができているか?
必要に応じて、改善策を見直すことも大切です。
【事例】塗装工場での「やれる仕組み」づくり
ケース:機械部品メーカー(従業員100名)
VOC(揮発性有機化合物)の排出が多く、大気汚染防止法の基準ギリギリ。法順守と削減を両立したい。
■ ① 行動の明確化
- 水性塗料への切り替えを2年かけて実施
- 導入費用は2000万円、ライン変更も必要
■ ② “やれる仕組み”への統合
- 環境目標(6.2):VOC排出を30%削減(2026年末)
- 支援(7):技術部門が主担当、塗装作業員に訓練を実施
- 運用管理(8):塗料選定ルールを変更、作業手順書を改訂
- 測定評価(9.1):月次で排気濃度を測定し、環境KPIに反映
■ ③ 効果の確認
- 進捗をマネジメントレビューで共有
- 排出量が目標未達なら、換気設備増設を検討
このように、計画を実施できるしくみに落とし込むことで、確実に成果へとつながります。
まとめ|“やると決めたこと”を、確実に実行へつなげる
ISO14001の6.1.4が求めているのは、「やると決めたことを、確実にやれる状態にする」ことです。
つまり、「誰が・いつ・どうやって」やるのかが決まり、関係者にも伝わっていて、現場で実際に動いている状態を作ることが求められています。
形式だけの計画ではなく、**現場とつながる“実行できる仕組み”**をつくること。
それこそが、環境改善の成果を生み出す一歩になるのです。
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