やるべきことが、ちゃんと“やれる計画”になっていますか?~ISO14001「6.2.2 環境目標を達成するための取組みの計画策定」の実践ポイント~
ISO14001で環境目標を掲げることは、多くの組織が実施していると思います。しかし、その目標を本当に達成できるかどうかは、「実行計画」があるかどうかで決まるといっても過言ではありません。
今回ご紹介するのは、**ISO14001の規格6.2.2項「環境目標を達成するための取組みの計画策定」**に関する実践ポイント。
単なる目標の掲示にとどまらず、「実行できる仕組み」へと落とし込む方法を、事例を交えてご紹介します。
環境目標を立てた“その先”が問われる
6.2.1では、組織が「環境目標」を設定することが求められていますが、6.2.2では、それを**どう達成するかの具体的な「計画づくり」**が求められています。
単に「CO2を減らす」「廃棄物を減らす」といった目標を立てるだけでなく、
- 何をやるのか?
- 誰がやるのか?
- いつまでにやるのか?
- どんな資源が必要か?
- どうやって成果を測るか?
- その取組みを日常業務にどう組み込むか?
これらをしっかり決めて、進めていくことが必要です。
工場の省エネ活動を例にした、実行計画の立て方
たとえば、ある製造業の環境目標がこちらです:
「2025年度中に、工場で使う電力を前年より5%削減する」
この目標を達成するための「取組みの計画」は、以下のように具体化されました。
計画要素 |
内容 |
何をする? |
昼休憩時の照明オフ徹底。老朽化したコンプレッサーを省エネ型に更新。 |
必要な資源は? |
新機器の予算100万円、作業員向けの教育2時間。 |
責任者は? |
工場長、電気設備管理者、各ライン長。 |
いつまでに? |
2025年12月までに全て実施。 |
成果の測り方は? |
電力使用量を月次で集計・前年比と比較して評価。 |
事業プロセスへの統合方法は? |
月例生産会議で進捗共有。設備更新は定期保全計画に組み込み。改善提案制度も活用。 |
このように、通常の業務プロセスと一体化した形で取り組むことで、形だけの目標ではなく、実際に達成できる環境活動になります。
オフィスでもできる:用紙削減の取組み例
製造業だけでなく、事務系の職場でも同様です。
目標例:「コピー用紙の使用量を前年比で10%削減する」
この場合の取組み計画は、次のように進めることができます。
- 具体的取組み:両面印刷の徹底、印刷前にPC上で内容確認する運用に変更
- 責任者:総務部長と各課のリーダー
- 統合方法:印刷ルールをマニュアルに追加し、毎月の会議で削減率を共有する
- 測定方法:部署ごとの印刷枚数を月ごとに記録して見える化
このように、環境目標を“業務の当たり前”に変える工夫が求められます。
規格が求める6つの要素を満たすことがカギ
改めて、ISO14001の6.2.2では以下の6つを明確にすることが求められています。
- 何をするか(活動内容)
- 必要な資源(人・モノ・費用)
- 責任の所在(誰が実行・管理するか)
- スケジュール(実施期間・期限)
- 成果の測定方法(KPIなど)
- 業務への統合(業務フローや改善活動と連携)
この6点が整理されていないと、環境目標は「掲げただけ」で終わってしまいます。
まとめ:目標を“動かす”のは、現場のしくみ
環境への意識が高まるなかで、ISO14001の価値も再認識されています。
しかし本当に力を発揮するのは、「現場でちゃんと動く仕組み」が整ってこそ。
環境目標を“掲げるだけ”にせず、業務と一体化した実行計画を立てて運用することが、6.2.2の真の狙いです。
✅環境目標、実行できていますか?
目標達成に向けた「動く計画」、今こそ見直してみてはいかがでしょうか。
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