ISO9001の運用改善で実際に成果を上げた中小企業の改善事例(岡山県 プレス・鍛造業)
ISO9001の認証を取得したものの、「形だけのISO」になってしまっている…。
そんな悩みを抱えている中小企業は少なくありません。特に製造業では、ISO文書と現場業務がかけ離れてしまい、社員にとっては「負担の大きい仕組み」と感じられてしまうケースが目立ちます。
今回は、岡山県のプレス・鍛造業を営む中小企業が、ISO9001の運用改善によって実際に成果を上げた事例をご紹介します。単なる審査対応から脱却し、「現場に役立つISO」「利益につながるISO」に変えた取り組みは、同じように悩む中小企業にとって参考になるはずです。
1. 改善前の課題(岡山県 プレス・鍛造業A社の状況)
事例企業A社は、岡山県にある従業員約50名規模のプレス・鍛造業の会社です。主に自動車部品メーカー向けに多品種小ロットの金属加工を行っており、地域に根ざしたものづくり企業として成長してきました。
ISO9001認証を取得してから10年以上が経過していましたが、次のような課題を抱えていました。
- 文書が肥大化
認証取得当初に作ったマニュアルや手順書がそのまま残っており、現場で使われない資料が増加。
- 現場と乖離
実際の作業とISO文書が合わず、社員は「とりあえず記録するだけ」の運用に。
- 内部監査の形骸化
不適合を探すだけのチェックになり、「改善の場」として活用できていなかった。
- 社員の不満
若手社員から「ISOは余計な書類作業ばかり」という声が上がり、モチベーション低下の要因になっていた。
このままでは、せっかくのISO9001が「負担」でしかなく、経営的なメリットにつながらない状況でした。
2. 改善のアプローチ(外部支援を活用)
A社は外部のISOコンサルタントと連携し、ISO9001の運用改善プロジェクトを開始しました。取り組みの流れは以下の通りです。
(1) 現状診断
まず、現場の実務とISO文書とのギャップを徹底的に調査。どの文書が使われ、どれが形骸化しているのかを可視化しました。
(2) 文書・記録のスリム化
必要最小限の文書に整理し、不要な書類は廃止。手順書は図や写真を活用して見やすくし、現場が迷わず使える形に再構築しました。
(3) 現場主体の改善活動
班ごとに「もっと使いやすい記録フォーマット」を考案。実務に合わせた記録様式に変えることで、社員が主体的に取り組めるようになりました。
(4) 内部監査の刷新
従来の「不適合探し」から、「改善提案を引き出す場」へと方針を転換。監査員が現場の意見を聞き取り、改善活動につなげるサイクルを導入しました。
(5) 教育の見直し
ISO教育も大幅に刷新。規格の条文を学ぶ座学ではなく、「ISOは業務改善の道具である」という観点から、改善事例を交えた研修を行いました。
3. 実際に得られた成果
運用改善を進めた結果、A社では次のような具体的な成果が得られました。
- 業務効率化
記録様式を約7割削減。これにより、記録作業の時間を月40時間以上削減できました。
- 品質改善
現場の改善活動が活発になり、不良率が前年比で25%低下。製品の安定性が向上しました。
- 社員意識の変化
若手社員から「ISOが現場改善に役立つ」との声が増加。以前のように“書類作業だけ”というマイナスイメージが払拭されました。
- 顧客評価の向上
納期遵守率が改善し、大手取引先から追加発注を獲得。顧客満足度の向上につながりました。
- 経営メリット
作業ロス削減により、年間数百万円規模のコスト削減を実現。ISOが経営成果へ直結する形になりました。
4. 他社にも活かせる改善ポイント
今回の事例から、他の中小企業にも応用できる改善ポイントを整理すると以下の通りです。
- 「審査対応」ではなく「現場の役に立つ仕組み」にする
- 内部監査を“改善会議”に変える
- ISO教育は規格知識ではなく「改善の道具」として伝える
- 現場主体の記録フォーマットづくりでムダを減らす
- 品質・納期・コストといった経営成果に直結させる
5. まとめ
岡山県のプレス・鍛造業の中小企業が実践したISO9001の運用改善事例を紹介しました。
「形だけISO」と言われる状態からでも、改善を進めればISOは確実に利益を生み出す仕組みへと変わります。
ISO9001を「コスト」ではなく「利益の源泉」にするために、まずは自社の運用実態を見直すことが第一歩です。
6. 参考情報
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👉 ISO運用改善でさらに詳しく知りたい方は、[ISO運用支援のまとめ記事]をご覧ください。」
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