令和グループ(ISOコンサルティング)

ISO14001:2026改訂で注目される「ライフサイクル視点」とは― まず押さえたい基本的な考え方 ―

ISO14001:2026改訂で注目される「ライフサイクル視点」とは

 

 

2026年に予定されている ISO14001 の規格改訂では、
**「ライフサイクルの視点」**が、これまで以上に重要な考え方として位置づけられる見込みです。

 

とはいえ、

  • 「ライフサイクルとは何のことか、正直よく分からない」
  • 「LCA(ライフサイクルアセスメント)をやらなければならないのでは?」
  • 「中小企業には難しそうだ」

と感じている方も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、専門的な手法や難しい用語に入る前に、
**まず“ライフサイクルの視点とはどのような考え方なのか”**を、
中小企業の皆さんにもイメージしやすい形で整理していきます。

 

 

日本には「ライフサイクル」という考え方はなかったのか?

 

「ライフサイクル」という言葉は横文字ですが、
実はその考え方自体が、日本にまったくなかったわけではありません。

 

日本には昔から、
「揺りかごから墓場まで」
という表現があります。

 

これは、人の一生を

  • 生まれて
  • 育ち
  • 働き
  • 年を重ね
  • 最期を迎えるまで

一続きの流れとして捉える考え方を表しています。

 

特定の時点だけを見るのではなく、
最初から最後までを通して見る――
この発想そのものが、「揺りかごから墓場まで」の意味です。

 

ISO14001でいう「ライフサイクルの視点」も、
本質的にはこの考え方とよく似ています。

 

 

製品やサービスにも「一生」がある

 

人に一生があるように、
製品やサービスにも「一連の流れ」があります。

 

例えば、製造業の製品であれば、

  1. 原材料の調達
  2. 加工・製造
  3. 梱包・輸送
  4. 使用・保守
  5. 廃棄・リサイクル

といった流れをたどります。

 

ここで重要なのは、
自社の工場の中だけが対象ではないという点です。

  • 原材料はどこから来ているのか
  • 製品はどのように使われるのか
  • 使い終わった後、どのように処理されるのか

こうした前後の工程も含めて、
全体を俯瞰して考える視点が「ライフサイクルの視点」です。

 

 

「全部を管理する」ことが求められているわけではない

 

ここで、よくある誤解があります。

 

ライフサイクルの視点ということは、
原材料メーカーや廃棄業者まで
すべて管理しなければならないのではないか?

 

ISO14001が求めているのは、
すべてを直接管理することではありません。

 

求められているのは、

  • 自社の事業活動が
  • ライフサイクル全体の中で
  • どこに、どのような影響を与えている可能性があるのか

理解し、意識して考えることです。

 

 

ライフサイクルの視点を意識すると、なぜ判断の質が上がるのか

 

もう一つ、ライフサイクルの視点を意識することの大きな利点があります。

 

何かを検討するとき、
思いつきや場当たり的な判断で進めてしまうと、
結果として考えが散発的になり、
後から「抜け」や「漏れ」に気づくことが少なくありません。

 

そして後になって、

「あの時、もう少し広い視点で考えておけばよかった」

と後悔する――
これは、中小企業の現場でもよくあることではないでしょうか。

 

ライフサイクルの視点を意識すると、
物事を最初から最後まで一続きの流れとして考えることになります。

 

その結果、

  • 検討の抜け落ちが少なくなる
  • 後戻りや手戻りを防ぎやすくなる
  • 判断に一貫性が生まれる

といった効果が期待できます。

 

ISO14001で求められているライフサイクルの視点は、
特別な手法というよりも、
「あとで後悔しないための考え方」
として捉えると、理解しやすいかもしれません。

 

 

LCA(ライフサイクルアセスメント)との違い

 

「ライフサイクル」という言葉から、
LCA(定量的な環境負荷評価)を連想する方もいるかもしれません。

 

しかし、ISO14001でいうライフサイクル視点は、

  • 数値計算を必ず行うこと
  • 専門的な分析ツールを使うこと

を前提としていません。

 

まずは、

  • どの段階で
  • どのような環境影響が考えられるか
  • 特に注意すべき点はどこか

整理し、認識することが重要です。

 

定量評価は、必要に応じて検討する選択肢の一つに過ぎません。

 

 

なぜ2026改訂で重要性が高まるのか

 

近年、環境を取り巻く状況は大きく変化しています。

  • 気候変動への対応
  • 資源の制約
  • 生物多様性への配慮
  • サプライチェーン全体での責任

これらはいずれも、
自社の中だけを見ていては対応しきれない課題です。

 

そのためISO14001では、
環境マネジメントを考える際の前提として、
ライフサイクル全体を見渡す視点が、
より重視される方向にあります。

 

 

本記事のまとめ

 

本記事でお伝えしたかったポイントは、次のとおりです。

  • ライフサイクルの視点は新しい概念ではない
  • 「揺りかごから墓場まで」に通じる考え方である
  • 製品・サービスを最初から最後まで通して考える視点
  • すべてを管理することが目的ではない
  • 判断の抜けや後悔を減らすための考え方である

 

次の記事では、
このライフサイクルの視点を、身近な中小製造業の事例に当てはめて
より具体的に考えていきます。

 

 

ライフサイクルの視点についての全体像はこちら

 

本記事では、ISO14001:2026改訂で注目される「ライフサイクルの視点」の基本的な考え方を整理しました。

全体像や、中小製造業がどこまで意識すればよいかを体系的に確認したい方は、下記ハブページをご覧ください。

👉 ISO14001:2026改訂で注目される「ライフサイクルの視点」対応ハブページ

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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