ISO14001:2026規格改訂で考える「生態系の健全性」― 排水・土壌・周辺環境をどう評価すればよいか ―

はじめに|「生物多様性より、まず現場で考えるべきこと」
ISO14001:2026改訂では「生物多様性」や「生態系の健全性」といった言葉が登場し、環境担当者の中には「どこまで対応すればよいのか」と戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
特に中小製造業においては、希少生物の保全や広域な自然環境の評価よりも、自社の活動が周辺環境に悪影響を与えていないかを現実的に確認することが重要です。
そこで本記事では、「生態系の健全性」を排水・土壌・周辺環境という、より現場に近い切り口で整理します。
生態系の健全性とは「環境が無理なく保たれている状態」
生態系の健全性とは、自然環境が本来の機能を維持し、急激な悪化や回復困難な状態に陥っていないことを指します。
製造業の視点で言い換えると、次のような問いになります。
- 排水が水路や河川の環境を悪化させていないか
- 土壌に有害物質が蓄積していないか
- 周辺の植生や生活環境に負荷を与えていないか
これは「生物多様性を守る」という抽象的な話ではなく、日常の操業が環境の健全性を損なっていないかを確認する行為です。
現場で見やすい評価対象①|排水の視点
排水は、多くの製造業にとって最も分かりやすい評価対象です。
チェックの考え方
- 排水基準を遵守しているか(法令・条例)
- 油分、濁り、臭気など、異常の兆候はないか
- 雨天時・非定常時の排水に問題はないか
重要なのは、**測定値そのものよりも「変化」**です。
過去と比べて数値が悪化していないか、現場で違和感が出ていないかを継続的に確認することが、生態系の健全性評価につながります。
現場で見やすい評価対象②|土壌の視点
土壌は目に見えにくい分、後回しにされがちですが、生態系の健全性を考える上で重要な要素です。
中小製造業で想定されるポイント
- 薬品・油類の保管場所に漏えいリスクはないか
- 過去に土壌汚染の可能性がある工程はないか
- 床や地面に染み・変色が発生していないか
ISO14001では、必ずしも全社的な土壌調査を求めているわけではありません。
**「問題が起きそうな箇所を把握し、管理しているか」**が実務上の評価ポイントになります。
現場で見やすい評価対象③|周辺環境の視点
工場の敷地外も含めた「周辺環境」も、生態系の健全性の一部です。
確認しやすい視点
- 騒音・振動・臭気で近隣に影響を与えていないか
- 排水先や敷地境界で環境の変化は見られないか
- 近隣からの苦情・指摘が増えていないか
ここでも重要なのは、専門的な調査よりも、日常的な気づきの蓄積です。
現場巡視や近隣対応の記録は、生態系の健全性を説明する根拠になります。
生態系の健全性は「評価表」にどう落とすか
実務では、環境側面評価やリスク管理の中で整理すると分かりやすくなります。
例えば、次のような形です。
- 対象:排水・土壌・周辺環境
- 視点:異常の有無、変化の兆候、管理状況
- 判断:通常管理で可/注意管理/重点管理
数値化にこだわる必要はなく、「なぜそう判断したか」を説明できることが重要です。
まとめ|「大きな自然」より「足元の環境」から考える
ISO14001:2026でいう「生態系の健全性」は、決して大企業向けの難しいテーマではありません。
中小製造業にとっては、
- 排水は適切に管理されているか
- 土壌に無理な負荷をかけていないか
- 周辺環境との関係は健全か
といった足元の環境を丁寧に見直すことが、そのまま対応になります。
生物多様性の議論に入る前に、まずは現場で説明できる「健全性」を整理する。
それが、ISO14001:2026時代の現実的な第一歩と言えるでしょう。
生態系の健全性を“評価で終わらせない”ための整理はこちら
排水・土壌・周辺環境の評価は、生態系の健全性を考えるうえで重要な入口です。
評価の考え方から、ISO14001:2026で求められる実務整理までをまとめた生態系の健全性対応ハブもあわせてご参照ください。
ISO14001:2026改訂で注目される「生態系の健全性」対応ハブ― 中小製造業が“足元の環境”をやりすぎず・抜け漏れなく整理するために ―
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