令和グループ(ISOコンサルティング)

判断に迷う瞬間|8.1―ISO14001:2026「運用管理」は、どこまで見直すべきか?―

判断に迷う瞬間|8.1―ISO14001:2026「運用管理」は、どこまで見直すべきか?―

 

 

はじめに|8.1で多くの組織が立ち止まる理由

 

ISO14001:2026への改訂対応を検討する中で、
8.1「運用の計画及び管理」 に差し掛かると、次のような迷いが生じやすくなります。

  • 新しい要求事項に合わせて、手順やルールを作り直す必要があるのか?
  • 6.1で整理したリスク・機会や環境状態は、どこまで運用に反映すべきか?
  • 「考え方」と「現場の作業」を、どう結び付ければよいのか?

 

8.1は、検討してきた内容を“実際の運用”へ落とし込む箇条です。
そのため、「ここから大変になるのでは…」と身構えてしまう担当者も少なくありません。

 

 

8.1の位置づけを整理する

 

まず大切なのは、8.1の役割を正しく理解することです。

 

8.1は、
「新しい活動を追加する箇条」ではありません。

 

これまでに整理してきた内容、たとえば

  • 4.1 組織を取り巻く状況
  • 4.2 利害関係者のニーズと期待
  • 6.1 リスク及び機会
  • 6.2 環境目標

これらで決めた方向性を、日常業務の中でどう管理するかを確認する箇条です。

 

つまり、
👉 「運用そのものを変える」よりも
👉 「運用の見方・管理の仕方を整理する」
ことが中心になります。

 

 

よくある「やりすぎ」の例

 

8.1で迷いが生じる原因の多くは、やりすぎてしまうことにあります。

例えば、

  • 環境状態ごとに、新しい運用手順書を作ろうとする
  • 既存業務とは別に、環境専用の管理ルールを追加する
  • 抽象的なリスクを、そのまま細かい管理項目に落とし込もうとする

 

これらは一見、真面目な対応に見えますが、
結果として 現場が回らなくなる ことが少なくありません。

 

ISO14001:2026は、
「環境配慮を日常業務に自然に組み込むこと」を求めています。
環境マネジメントのための業務を増やすことは、本来の趣旨ではありません。

 

 

判断のポイント|8.1で考えるべき3つの視点

 

8.1を整理する際は、次の3点を軸に考えると迷いが減ります。

 

① すでに行っている業務で対応できていないか?

まずは、既存の業務・管理ルールを洗い出します。
購買、外注管理、設備保全、工程管理など、
すでに環境に影響を与えている業務は多く存在します。

 

「新しく何を作るか」ではなく、
「今やっている業務をどう位置づけるか」
という視点が重要です。

 

 

② 6.1で決めた内容と“つながっているか”?

8.1は、6.1で整理したリスク・機会と無関係に存在するものではありません。

  • この管理は、どのリスク・機会への対応か
  • どの環境状態を意識したものか

 

この つながりが説明できるかどうか がポイントです。

すべてを完璧につなげる必要はありませんが、
「なぜこの管理をしているのか」が説明できれば十分です。

 

 

③ 管理のレベルは“必要最小限”か?

ISO14001:2026では、「リスクに応じた管理」が求められます。

  • 重大な影響が想定されるもの → 明確な管理
  • 影響が限定的なもの → 既存管理の範囲で対応

 

すべてを同じ重さで管理しようとすると、必ず破綻します。
メリハリのある整理が、8.1では特に重要です。

 

 

「運用管理=現場の作業」ではない

 

8.1という言葉から、
「現場作業の細かい手順まで決めなければならない」
とイメージしてしまうことがあります。

 

しかし、8.1が求めているのは、
**作業そのものよりも“管理の考え方”**です。

  • 誰が、どの視点で、何を管理しているのか
  • それがEMS全体の考え方と矛盾していないか

 

この整理ができていれば、
細かい手順書の作成までは求められません。

 

 

まとめ|8.1は「決めたことを確認する箇条」

 

8.1は、新しい仕組みを作る場面ではなく、
これまで決めてきた内容を、運用として整理する場面です。

 

迷ったときは、次の問いに立ち返ってみてください。

  • この管理は、どの判断(4章・6章)につながっているか?
  • 新しい業務を増やしていないか?
  • 現場が無理なく続けられる形か?

 

これらが整理できれば、
8.1は「難所」ではなく、これまでの検討を形にする工程になります。

 

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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