令和グループ(ISOコンサルティング)

判断に迷う瞬間|8.2「緊急事態への準備及び対応」は、どこまでやれば十分なのか?

判断に迷う瞬間|8.2「緊急事態への準備及び対応」は、どこまでやれば十分なのか?

 

 

はじめに|8.1まで整理したのに、また迷い始める理由

 

8.1で、
「日常業務としての運用」は整理できた。
環境側面も、管理方法も、責任者も決めた。

 

――それなのに、8.2を読み始めた瞬間、
こんな疑問が浮かびませんか?

  • 事故や災害は、8.1の運用に含めていいのか?
  • それとも、8.2として別に考え直す必要があるのか?
  • どこまで想定すれば「準備した」と言えるのか?

 

このモヤっとした感覚こそが、
8.2で多くの組織が立ち止まる「判断に迷う瞬間」です。

 

 

8.2は「新しいことを考える条文」ではない

 

まず押さえておきたい前提があります。

8.2は、
ゼロから緊急事態を洗い出す条文ではありません。

 

むしろ、

6.1で特定したリスク

8.1で決めた運用

それらが「崩れたとき」を想像する条文

です。

 

つまり、

  • 火災
  • 漏えい
  • 設備トラブル
  • 異常排水
  • 大規模災害

などを網羅的に並べることが目的ではなく、

 

「この運用が止まったら、
環境影響はどう広がるか?」

を考えることが、8.2の本質です。

 

 

迷いやすいポイント①

 

「想定」はどこまでやればいいのか?

 

多くの組織がここで悩みます。

  • 起こりうる事象をすべて書くべき?
  • 発生確率の低いものまで含める?
  • 過去に起きていない事故も想定する?

 

結論はシンプルです。

“現実的に起こり得て、
起きたら影響が大きいもの”に絞る

 

ISO14001:2026で求められているのは、
想像力の勝負ではありません。

  • 自社の設備
  • 自社の作業内容
  • 自社の立地・周辺環境

 

これらを踏まえて、
「これは無視できない」と判断できるものだけで十分です。

 

 

迷いやすいポイント②

 

手順書・訓練は必須なのか?

8.2を読むと、

  • 緊急時対応手順
  • 訓練
  • 見直し

といった言葉が並び、
一気にハードルが上がったように感じます。

 

ですが、ここでも考え方は同じです。

“実際に動けるか”が判断基準

  • 紙に書いてあるだけ
  • 年1回やったかどうか分からない訓練
  • 担当者しか知らない手順

これでは「準備した」とは言えません。

 

逆に、

  • 簡単なフロー
  • 連絡先が明確
  • 誰が何をするかが分かる

このレベルでも、
実態として機能していれば十分です。

 

 

ここで効いてくる「7」の視点

 

8.2は、7の弱点をあぶり出す

 

8.2を考え始めると、必ず出てくる問いがあります。

  • 緊急時、誰が判断するのか?
  • その人は本当に理解しているのか?
  • 連絡は誰に、どう伝わるのか?

これはまさに、7の世界です。

 

7.3 認識

  • 緊急時対応を知っているのは誰か
  • 現場レベルまで認識されているか

 

7.4 コミュニケーション

  • 社内連絡ルートは明確か
  • 外部(消防・自治体・業者)との連携は想定されているか

 

8.2は、
7を独立して整備するための条文ではありません。

「この緊急対応、
人と情報がちゃんと動く?」

この問いを投げかけるための条文です。

 

 

判断の分かれ目

 

「やっている」か「動く」か

 

8.2での最終的な判断基準は、ここに集約されます。

  • 書類があるか → ✕
  • 訓練をやったことがあるか → ✕
  • いざという時に、迷わず動けるか → ◎

 

ここを基準に考えると、

  • やりすぎている部分
  • 足りていない部分

が自然に見えてきます。

 

 

おわりに|8.2は「不安を増やす条文」ではない

 

8.2は、
「新しい要求を増やす条文」ではありません。

 

8.1までに決めたことが、

非常時でも通用するかを、
もう一度確かめる条文

です。

 

そしてその過程で、
7(人・認識・コミュニケーション)が
どこまで支えになっているか
が見えてきます。

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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