8 運用 ~品質及びサービスの提供(Do)~
“箇条8運用”はどんな内容でしょうか?箇条8は、品質マネジメントシステムのPDCAの”Do”にあたります。その概要につき順を追って説明します。
ISO 9001の箇条8は、組織の運用(オペレーション)の実施と管理に関する要求事項を定めた部分であり、品質マネジメントシステム(QMS)の中核とも言えます。以下、その位置づけと主な内容について説明します。
1. 全体的な位置づけ
実際の業務プロセスの実施:
箇条8は、組織が策定した品質方針や目標を実際の業務プロセスに落とし込み、計画に基づいて運用を行うための枠組みを提供します。つまり、戦略や計画を現場レベルで実行に移すための具体的なプロセスが定義されています。
他の章との連携:
ISO 9001は、リーダーシップ(第5章)、リスク及び機会の対応(第6章)、支援(第7章)などとともに、組織全体の品質マネジメントシステムを形成しています。その中で、箇条8は実際の「動く部分」として、計画で定められた事項が確実に実現されるための運用面に焦点を当てています。
2. 第8章の主要な構成要素
ISO 9001:2015における第8章は、以下のようなサブセクションで構成されています(バージョンや業種によって多少の違いはありますが、一般的な構成は次の通りです):
8.1 運用の計画及び管理(Operational Planning and Control)
各プロセスの計画、実施、管理を通じて、顧客要求事項やその他の関連要求事項を確実に満たすための基盤を作ります。
8.2 製品およびサービスに関する要求事項の決定
顧客とのコミュニケーションを含め、製品やサービスの要求事項を明確化し、文書化することで、品質の一貫性を保ちます。
8.3 設計及び開発(必要な場合)
新製品やサービスの設計開発プロセスを管理し、計画的な設計・開発が実施されるようにします。
8.4 外部提供のプロセス、製品及びサービスの管理
サプライヤーや外部委託先から提供されるプロセス・製品・サービスの管理に関する要求事項を規定し、外部からの影響も含めた品質管理を行います。
8.5 製造及びサービス提供
実際の製造プロセスやサービス提供の際の条件、設備、人的資源の管理など、具体的な運用プロセスの実施に関する要求事項が含まれます。
8.6 製品及びサービスのリリース
製品やサービスが計画通りの品質基準を満たしていることを確認し、正式に顧客へ提供するための最終検査や承認のプロセスが含まれます。
8.7 不適合出力の管理
不適合が発生した場合の対応策、再発防止策、及び記録の管理など、問題発生時の迅速な対応を求められます。
顧客満足を追求!ISO 9001第8章が描く実践品質管理の新戦略
ISO 9001の第8章は、組織が計画した品質管理システムを実際の業務に落とし込み、製品やサービスの品質を維持・向上させるための具体的な運用プロセスを定義しています。これにより、組織は顧客満足度を高めるための確固たるプロセスを実践し、内部及び外部の要求事項に一貫して応えられる体制を構築することが求められています。