令和グループ(ISOコンサルティング)

ISOコンサルタントの視点による“8.7 不適合なアウトプットの管理”の概要・リスク

不適合なアウトプットの管理とは、どんなことを実施すればよいのでしょうか。「8.7 不適合なアウトプットの管理」の概要及びリスクとその対策について解説します。

 

 

「8.7 不適合なアウトプットの管理」の概要

 

「8.7 不適合なアウトプットの管理」は、組織が製品やサービスのアウトプットにおいて、仕様や要求事項に適合しない(すなわち不適合な)結果が発生した場合に、その発生を適切に識別、隔離、記録、評価し、再発防止および改善につなげるための仕組みを整備することを求める項目です。以下にその総括的な概要を示します。

 

主なポイント

  • 不適合の定義と識別
    不適合なアウトプットとは、定められた品質基準や仕様、法的要件に達していない製品やサービスのことを指します。まずは、これらを正確に識別し、他の正常なアウトプットと混同されないよう明確に区分することが重要です。

 

  • 隔離と管理
    不適合が発生した場合、誤って市場や顧客の手に渡らないよう、速やかに隔離または封じ込める措置を講じます。これにより、さらに大きな影響や不具合の拡大を防ぎます。

 

  • 記録と文書化
    発生した不適合に関する情報(発生時期、場所、原因、発生状況など)を正確に記録し、後続の分析や改善活動の基礎データとします。また、管理処置やその結果についても文書化することで、トレーサビリティ(追跡可能性)を確保します。

 

  • 是正処置と再発防止
    不適合が発生した場合、単にそのアウトプットを隔離するだけでなく、根本原因の分析を行い、是正処置や改善措置を講じます。これにより、同じ不具合の再発を防止するためのプロセス改善が促進されます。

 

  • 意思決定と処分の選択
    不適合なアウトプットに対しては、再加工、修理、再評価、あるいは廃棄といった対策が検討され、適切な判断が下されます。これにより、顧客への影響を最小限に抑えるとともに、品質の向上に繋げる仕組みが構築されます。

 

  • 継続的改善へのフィードバック
    不適合の管理を通じて得られた情報や教訓は、全体の品質マネジメントシステムにフィードバックされ、プロセスの改善やリスク低減に活かされます。これにより、組織全体の品質水準の向上と持続的な改善が図られます。

 

「8.7 不適合なアウトプットの管理」は、組織が品質保証の一環として、不適合な結果が発生した際の対応策を体系的に定め、適切な管理、記録、是正措置、そして再発防止のプロセスを整備するための重要な項目です。これにより、顧客満足の向上や組織の信頼性の確保、さらには全体のプロセス改善へと結びついていきます。

 

 

不適合品の見逃しが招く危機―管理不備が引き起こす連鎖リスクと迅速対応の重要性

 

不適合なアウトプットの管理において、最も大きなリスクは不適合品の見逃しにあります。不適合品を正確に識別できなければ、正常品と混同され、市場に流出する恐れが生じます。さらに、発生状況や原因、対応策に関する記録や文書化が不十分であれば、後の原因分析や再発防止策の策定に支障をきたし、同じ問題が繰り返されやすくなります。不適合品を適切に隔離する措置が遅れると、製品が再利用されたり出荷されたりするリスクが高まるため、迅速な対応が求められます。また、表面的な対策に終始し、根本原因の追求が十分に行われない場合、効果的な是正処置が実施されず、結果として同じ不具合が再発する可能性が増大します。さらに、各部門間での情報共有やコミュニケーションが不足すると、全体として一貫した対応が取れず、問題の拡大を招くことにもなります。

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