ISOコンサルタントの視点による“9.1監視、測定、分析及び評価”
“9.1監視、測定、分析及び評価”とは、どんなことを実施すれば良いのでしょうか。“9.1監視、測定、分析及び評価”及び”品質マネジメントシステムのパフォーマンスおよび有効性の評価対象”の内容につき解説します。
「9.1監視、測定、分析及び評価」の概要
「9.1 監視、測定、分析及び評価」は、組織が自分たちの活動やプロセスのパフォーマンスを継続的に確認し、改善点を見つけ出すための仕組みです。以下のポイントで分かりやすく説明します。
- 監視(Monitoring)
- 意味: 日常の業務やプロセスを継続的に観察し、現状を把握すること。
- 例: 製品の品質チェック、顧客対応のタイムリーな確認など。
- 測定(Measurement)
- 意味: 監視の結果を数値やデータとして記録し、定量的に評価できるようにすること。
- 例: 製品の不良率、顧客満足度の数値、作業時間の記録など。
- 分析(Analysis)
- 意味: 測定したデータを整理し、どの部分が良いか、または改善が必要かを明らかにすること。
- 例: 不良率が上がった原因を探る、顧客からのフィードバックを分類して傾向を探るなど。
- 評価(Evaluation)
- 意味: 分析結果を基に、現状のパフォーマンスが組織の目標や基準に合致しているかどうかを判断し、必要な対応を決定すること。
- 例: 改善策の実施が効果的かを評価し、さらに必要な改善活動を計画する。
全体の流れ
- 計画と準備: 何を監視・測定するか、どのデータが必要かをあらかじめ決めます。
- 実行: 日々の業務の中で実際にデータを収集し、監視や測定を行います。
- 分析: 集めたデータを整理・分析し、問題点や改善ポイントを抽出します。
- 評価と改善: 分析結果に基づいて、目標とのギャップを評価し、改善策を実施します。
このプロセスを繰り返すことで、組織は常に自らの状態を正しく把握し、より高いパフォーマンスや品質の維持・向上に努めることができます。
品質マネジメントシステムのパフォーマンスおよび有効性
「品質マネジメントシステムのパフォーマンスおよび有効性」の評価対象となる事項は、組織が品質に関して目標を達成しているか、また改善活動が適切に実施されているかを確認するためのさまざまな側面を含みます。具体的には、以下のような項目が挙げられます。
- 顧客満足
- 顧客のフィードバックや苦情:顧客からの意見や不満点を収集・分析し、満足度の向上に役立てる。
- 顧客要求事項の適合性:製品やサービスが顧客の期待や要求を満たしているかどうか。
- プロセスパフォーマンス
- 業務プロセスの効率性と有効性:各プロセスが計画通りに実施され、期待される成果を上げているか。
- 生産性や不良品率などの指標:定量的なデータを用いてプロセスの状態を評価する。
- 製品・サービスの適合性
- 品質目標の達成状況:設定された品質基準や目標値が実際に達成されているか。
- 内部監査や外部監査の結果:品質管理に関する内部チェックや第三者監査のフィードバックを評価。
- 改善活動の効果
- 是正措置・予防措置の実施状況:問題発生後の対策が適切に行われ、再発防止につながっているか。
- 継続的改善の取り組み:PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を通じたシステム全体の改善状況。
- リスクと機会の管理
- リスク評価とその対応:品質に影響を及ぼす可能性のあるリスクが認識され、対策が講じられているか。
- 機会の把握と活用:品質向上のための新たな機会が積極的に活用されているか。
- 組織全体のパフォーマンス
- 資源の管理と配分:必要な人材、設備、情報などが適切に管理され、効果的に活用されているか。
- 関連法規や規格の遵守状況:法令や業界標準、顧客の要求事項が十分に守られているか。
これらの項目を定期的に「監視、測定、分析及び評価」することで、品質マネジメントシステムの現状と課題を明確にし、必要な改善措置を実施する基盤が整えられます。結果として、組織は顧客満足の向上、業務効率の改善、製品・サービスの品質向上につなげることができるのです。