業務改善につながる内部監査とは?〜単なる形式チェックで終わらせないISO9001の実践方法〜
はじめに:「またこの監査、何の意味があるの?」
「去年と同じことをまた聞かれた…」
「どうせチェックして終わりなんでしょ?」
こんな声が社内から聞こえてきたら、要注意です。ISO9001の内部監査が“形だけのイベント”になっている可能性があります。
内部監査は本来、ルールを守っているかを確認する場ではなく、業務の無駄や改善点を発見する絶好のチャンスです。
この記事では、「業務改善につながる内部監査」の考え方と実践方法について、現場での具体例を交えながら解説します。
ISO9001が求める“本来の内部監査”とは?
ISO9001(2015年版)の9.2項では、内部監査の目的として以下が明記されています:
“品質マネジメントシステムが、規格や自社のルールに適合しているか、そして有効に実施・維持されているかを確認すること。”
つまり、「ルールを守っているか?」だけではなく、
「本当にこのやり方で成果が出ているのか?」まで問うことが求められています。
この視点を持つことで、内部監査は“義務”から“改善の起点”へと変わります。
形式的な監査と改善志向の監査、何が違う?
比較項目 |
形式的な監査 |
改善志向の監査 |
チェック対象 |
文書や記録の整合性 |
業務の効率性や効果性 |
質問の内容 |
「手順書どおりですか?」 |
「このやり方、今も最適ですか?」 |
対話の質 |
一問一答形式 |
対話・ヒアリング型 |
監査の結果 |
指摘中心 |
改善提案や気づき共有 |
改善志向の監査では、「なぜこの作業がこうなっているのか」「もっと楽な方法はないのか?」といった、現場の声を引き出すような対話が重要です。
業務改善につながる監査の進め方(5ステップ)
監査の目的・テーマを明確にする
「今回の監査では何を改善したいのか?」を事前に設定します。
例)納期遵守率向上/記録作業の効率化/苦情削減
事前ヒアリングと現場観察
書類を見るだけでなく、実際の現場を見て・聞くことが大切です。
現場で起きている“ズレ”は、書面だけでは見えません。
質問の質を高める
チェックリストをただ読み上げるのではなく、以下のような対話を意識します。
- 「この作業で困っていることはありますか?」
- 「最近、やり方を変えたことはありますか?」
- 「もっと簡単にできるとしたら、どこを変えたいですか?」
監査の対話を記録する
指摘事項だけでなく、**“気づき”や“改善のヒント”**もメモに残しておきます。
現場が気づいていない“ムダ”や“非効率”は、後からの改善活動の種になります。
アクションへつなげる
監査結果は、関係部署で共有→改善→再確認という流れに落とし込みます。
ここまで実行してこそ、“業務改善型内部監査”が成立します。
中小企業の改善事例
- 製造業A社:「2重チェック」の見直しで残業削減に成功
出荷時に実施していた「2重チェック」工程。
監査で「手間の割にミス防止効果が薄い」と判明し、チェック項目を再整理→効率化。
結果、1日30分の残業を削減できた。
- サービス業B社:クレーム対応手順を簡素化し顧客満足向上
現場スタッフが手順を把握できておらず、対応のバラつきが課題に。
監査でその実態が浮き彫りになり、チェックリスト形式の簡易フローを導入。
クレーム件数が前年比30%減少。
内部監査を活かすための工夫
- ✅ チェックリストを“問いかけ形式”に変更
例:「このやり方で最も効率が良いですか?」
- ✅ 監査後、部門別に改善会議を実施
全社的なフィードバックの場をつくることで、横展開が可能に。
- ✅ 監査員の教育を“聞く力”中心に
「書いてあることを確認する」から「本音を引き出す対話」へ
- ✅ PDCAで再監査を計画
改善施策の定着状況を翌月・翌四半期に再確認
令和グループの支援:形骸化した監査を“価値ある活動”へ
私たち令和グループでは、業務改善につながる内部監査の構築支援を多数行ってきました。
提供サービスの一例:
- 業種別・部門別「改善型チェックリスト」の提供
- 対話型の監査員研修(ケースロールプレイ含む)
- 模擬内部監査の実施
- 継続的改善につながる改善報告フォーマット
内部監査の仕組みの見直しには、無料の「一日診断」を通じて、どのように改善すれば良いかの提案を受けることも有効です。下記ブログを参照ください。
まとめ:内部監査は“現場をよくする仕組み”になれる
内部監査は単なるルール確認の場ではなく、現場を見直し、よりよくするきっかけになり得ます。
そのためには、「何のために監査をするのか」「どうすれば改善につながるのか」という目的意識が不可欠です。
チェックリストに「✓」を入れるだけで終わらせず、現場と一緒に考える監査をはじめてみませんか?
まずは、今の監査が“目的通りに機能しているか”を、私たちと一緒に診断してみましょう。
お気軽にお問い合わせください。
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