ISO視点で考える気候変動対策:中小企業が今すぐ取り組める実践ポイント~気候変動は、大企業だけの課題ではない
近年、異常気象や猛暑・豪雨のニュースを見ない日はありません。こうした気候変動の影響は、もはや“地球規模の課題”として、国や大企業だけでなく、私たち中小企業にも直接的な影響を及ぼすようになっています。
「ウチみたいな小さな会社には関係ない」と思っていませんか?
実は、取引先からの環境対応に関するアンケートや、CO2排出量の把握を求められる事例が急増しています。特に製造業では、サプライチェーン全体の脱炭素化に協力するよう要請されることも珍しくありません。
中小企業が今できることは何か? そのヒントが、「ISO(国際規格)」にあります。
ISOが果たす、企業の気候変動対応における役割とは
ISO14001:環境マネジメントの基本から気候リスクへの応用へ
ISO14001は、環境マネジメントシステムに関する国際規格です。
「省エネや廃棄物削減」など、従来から環境に配慮した取り組みを支援してきましたが、近年では**“気候変動”や“脱炭素”を視野に入れた活用**が強く求められています。
たとえば、以下のような対応が可能です。
- 気候リスク(台風・大雨による操業停止リスクなど)の識別と管理
- 温室効果ガス排出の削減目標の設定
- サプライヤーとの連携による脱炭素の推進
これらはすべて、ISO14001の「環境側面」「リスクと機会」「パフォーマンス評価」などの章に沿って、体系的に進めることができます。
ISO9001やその他規格との組み合わせ
品質マネジメントを扱うISO9001でも、「外部の課題」や「リスク及び機会」を扱う要求事項があります。
そこに**“気候変動が経営リスクとなる”**という視点を取り入れれば、自然災害や原材料高騰など、経営への影響を先回りして対応できます。
また、エネルギー消費を管理するISO50001との組み合わせによって、より実践的な「脱炭素経営」への道筋をつけることも可能です。
中小企業が“今すぐできる”実践アクション
環境対応といっても、いきなりカーボンオフセットや再エネ導入など大規模な取り組みを行うのは難しいものです。
そこで、まずは以下のような**身近な“第一歩”**から始めてみましょう。
① 使用電力の見える化と省エネの工夫
- 古い照明をLEDに交換
- 休日や夜間の機器の待機電力をカット
- 空調の設定温度を見直す
これらは年間数%〜10%以上の電気使用量削減につながることもあります。
ISO14001の「環境目標」や「運用の計画及び管理」といった項目で具体的に実施・評価していけます。
② 取引先との連携による排出量削減
- 納品回数の調整でトラック輸送の回数を削減
- 環境配慮型材料への切り替え提案
- パートナー企業への環境対応ヒアリング実施
これらは、Scope3(間接的排出)への対応として、サプライチェーン全体の評価でも高く評価される可能性があります。
③ ISO14001や簡易環境認証制度の活用
「本格的なISO導入までは難しい」という場合でも、
エコアクション21などの簡易的な環境認証制度から始めて、後にISOへのステップアップも可能です。
【事例紹介】町工場でもできた!脱炭素の第一歩
ある地方の製缶業では、「ISO14001の導入+LED照明化+空調管理」の3点を徹底したところ、
年間15%以上の電力削減に成功。
結果として、電気料金の削減だけでなく、顧客からの「環境配慮企業としての信頼」も高まり、新たな受注に結びつきました。
実はこの企業、最初は「何から手を付ければいいか分からない」という状態でした。
令和グループの無料「一日診断」をきっかけに、現場に即した改善ポイントが明確になり、スムーズに取り組みがスタートしたのです。
【まとめ】小さな企業の一歩が、未来を守る
気候変動への対応は、規模の大小に関係なくすべての企業に求められる時代になりました。
ですが、“できることから、できる範囲で”始めることが何より大切です。
ISOは、その一歩を支える強力なツールです。
お気軽にお問い合わせください。
ISO(9001/14001)一日診断、認証取得のコンサルタント、現状のシステムの見直しと改善、内部監査教育や支援、ご質問などお気軽にお問合せ下さい。貴社のニーズに合う最善のご提案とサポートをご提供いたします。
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