令和グループ(ISOコンサルティング)

【ISO9001:2026改訂】リーダーが果たす倫理的リーダーシップ~信頼される組織文化をつくる原動力~

【ISO9001:2025改訂】リーダーが果たす倫理的リーダーシップ~信頼される組織文化をつくる原動力~

 

 

はじめに:ISO9001:2026改訂が示す「倫理的行動」とは

 

ISO9001:2026改訂で新たに注目されているのが、**「倫理的行動(Ethical Behavior)」です。

 

これまでは仕組みや文書整備に重点が置かれてきましたが、今後は人の行動と判断の“質”**が評価される時代になります。

 

特に中小企業では、経営者やリーダーの言動がそのまま組織文化に反映されます。
だからこそ、**倫理的リーダーシップ(Ethical Leadership)**が「品質文化」を支える鍵となります。

 

 

なぜ今、倫理的リーダーシップが求められているのか

 

社会全体で「信頼できる企業」を重視する傾向が強まっています。
品質の高さだけでなく、情報の扱い方、顧客や取引先への姿勢など、企業の“人間性”が評価の対象になっています。

 

ISO9001:2026が「倫理的行動」を強調するのは、
組織を信頼でつなぐ文化を経営の中心に置くためです。

 

たとえば、顧客への納期遅れを正直に伝えるリーダーと、
「なんとかごまかせ」と指示するリーダーでは、社員の行動がまったく変わります。
倫理的行動は、トップの判断から始まるのです。

 

 

倫理的リーダーシップの4つの柱と実践例

 

① 誠実さ(Integrity)

言葉と行動を一致させ、ごまかさないこと。
「社員には正直に報告しなさい」と言いながら、自分が都合の悪い事実を隠すようでは信頼は生まれません。

 

実例:
製品の軽微な不具合が発覚したとき、社長自ら顧客に連絡し、誠実に説明した製造業の例。
結果、取引停止どころか「信頼できる対応だ」と取引拡大につながりました。

 

 

② 公正さ(Fairness)

すべての社員・取引先に対して公平に接し、えこひいきを避ける姿勢。
「仲の良い社員だけを評価する」「声の大きい部署の意見だけを通す」――
こうした小さな不公平が、組織のモチベーションを下げます。

 

実例:
ある印刷会社では、社長が賞与面談の前に必ず「評価理由」を文書で共有。
社員から「納得感がある」「透明性がある」との声が増え、離職率が下がりました。

 

 

③ 透明性(Transparency)

意思決定のプロセスや根拠をオープンにし、隠さない文化をつくること。
「なぜその方針にしたのか」が説明されると、社員は納得して行動できます。

 

実例:
部門統廃合を行った際、経営陣が「なぜ必要か」「今後どう変わるか」を全社員に説明。
不安はあっても、「誠実に説明してくれた」との声が多く、離職はほぼゼロでした。

 

 

④ 責任感(Responsibility)

成果だけでなく、過程にも責任を持つこと。
「結果が悪かった=誰かが悪い」ではなく、プロセスを分析し、次の改善につなげる姿勢です。

 

実例:
出荷ミスが起きたとき、製造部長が「作業者の責任ではなく、仕組みの問題」として工程を再設計。
その後ミスが激減し、社員の安心感も高まりました。

 

 

日常業務で示すリーダーの行動例

 

倫理的リーダーシップは、特別な場面だけで発揮するものではありません。

 

日々の判断と振る舞いが、社員の“倫理的な行動基準”になります。

  • 納期遅延の報告を隠さない
     →「嘘をつかない文化」をリーダー自ら示すことで、社員も正直な報告をしやすくなる。

 

  • 取引先への不当な要求を断る
     →「短期利益より信頼」を優先する判断が、長期的なパートナーシップを築く。

 

  • 部下の失敗を責めず、一緒に再発防止を考える
     →恐れではなく、学びと成長を促すリーダーシップが、品質向上の文化を育てる。

 

こうした日常の姿勢こそ、ISO9001が目指す「人を中心にした品質文化」です。

 

 

組織に倫理的文化を根づかせる3つのポイント

 

① 経営層が「言行一致」で行動する

社員はリーダーの“背中”を見ています。
会議でどんなに良い話をしても、現場で不誠実な行動をすれば一瞬で信頼は崩れます。

 

 

② 社員教育で「倫理」を具体的に学ぶ

「倫理的行動とは何か」を共有しない限り、社員は行動できません。
たとえば、実際に起きた社内事例をテーマにディスカッションするだけでも、理解は深まります。

 

 

③ 意見を言いやすい風土をつくる

不正やリスクの兆候は、現場から上がってきます。
「報告しても大丈夫」という心理的安全性が、倫理的行動の出発点です。

 

 

ISO9001運用と倫理的行動のつながり

 

ISO9001は「顧客満足」と「継続的改善」を目的としていますが、
その根底には**“信頼”という無形の品質**が流れています。

 

クレーム対応やリスク報告など、すべてのプロセスで倫理的行動が欠かせません。
リーダーが誠実に判断する姿勢こそが、品質マネジメントの真の力を引き出します。

 

 

まとめ:倫理的行動が組織の信頼を育てる

 

ISO9001:2026の「倫理的行動」は、単なる条文ではなく、
「人を中心にした品質経営」への転換を意味します。

 

リーダーが倫理的リーダーシップを発揮することで、
社員の信頼・顧客の信頼・社会からの信頼という三層の信頼が積み上がります。
その結果、ISOは「コスト」ではなく「信頼を生む仕組み」へと進化していくのです。

 

 

関連記事まとめ|ISO9001:2026「倫理的行動」ハブページへ

 

倫理的行動の浸透には、リーダーの姿勢だけでなく組織全体の理解が欠かせません。
他の記事では、品質文化との関係や中小企業での実践ステップも紹介しています。
ぜひ下記のハブページで全体像をご覧ください。

👉 倫理的行動ハブページ|信頼を築く“倫理経営”への道

 

 

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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