【ISO9001:2026改定情報】品質文化とは?~ISO9001:2026改訂で注目される新しい考え方~

はじめに
ISO9001:2026改定で新たに注目されているキーワード――それが「品質文化(Quality Culture)」です。
今回の改訂では、文書や仕組みの整備だけでなく、**“品質を大切にする意識や行動を組織文化として根づかせること”**が重視されました。
つまり、「品質文化」とは単なる新しい用語ではなく、
ISO9001が本来目指してきた「仕組みを動かすのは人である」という原点を、改めて明確に示す考え方です。
経営者のリーダーシップ、現場の自発的な改善、社員一人ひとりの品質意識――
こうした“人の力”こそが、ISOを実効性ある仕組みへと変えていく鍵になります。
この記事では、ISO9001:2026改訂で追加された「品質文化」の意味や背景、
そして中小企業や製造業の現場でどのように育て、定着させていけばよいのかを、わかりやすく解説します
🔹 品質文化とは何か?
「品質文化(Quality Culture)」とは、組織全体が“品質を大切にする価値観”を共有し、日々の行動や意思決定に自然と反映される状態を指します。
単なるマニュアルや手順書に従うだけではなく、社員一人ひとりが「どうすればもっと良いものをつくれるか」「お客様に喜ばれるか」を自発的に考え、行動するような風土のことです。
たとえば、
- 不具合が起きたときに「誰のせいか」ではなく「なぜ起きたのか」を話し合う
- 品質向上のための小さな工夫を、職場で自然に共有する
- 経営者が“品質を最優先に考える姿勢”を明確に示す
こうした日常の積み重ねこそが「品質文化」を形づくります。
🔹 品質文化の基本的な考え方
ISO9001では、品質マネジメントシステムを通じて「顧客満足」と「継続的改善」を追求しますが、
品質文化はその**“土台となる人と組織の意識”**に焦点を当てています。
次のような考え方が、品質文化を支える柱となります。
品質は全員の責任である
品質管理部門だけでなく、営業・設計・製造・事務など、すべての部門が自分の業務品質に責任を持つ。
失敗を恐れず、改善を進める風土
ミスや不具合を隠すのではなく、「再発を防ぐにはどうすればいいか」を前向きに考える。
継続的改善(PDCA)が自然に回っている
「これで十分」ではなく、「もっと良くできないか」を当たり前に考える。
経営理念と一体化している
品質の追求が単なる指示ではなく、「企業としての使命・価値観」と結びついている。
🔹 品質文化を育てるための要素
品質文化は、スローガンを掲げるだけでは根付きません。
以下のような具体的な仕組みやリーダーシップが求められます。
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要素 |
内容の例 |
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トップのリーダーシップ |
経営者が品質を語り、実際の行動で示す(例:品質ミーティングへの参加、現場訪問など) |
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社員教育の継続 |
品質の意味や自分の業務との関係を理解させる教育を行う |
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部門間のコミュニケーション |
情報共有・改善提案の仕組みを設け、現場の声を吸い上げる |
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称賛と評価 |
品質改善への取り組みを正しく評価・表彰する |
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仕組みのシンプル化 |
文書・手順書を現場で使いやすい形に整理し、形骸化を防ぐ |
これらを継続して実践することで、「品質文化」は徐々に組織のDNAとして定着していきます。
🔹 ISO9001:2026における品質文化の位置づけ
ISO9001:2026では、「品質文化」はトップマネジメントの責務(箇条5)や、力量・意識(箇条7)と深く関係しています。
特に、社員が品質に関心を持ち、前向きに改善へ参加できる環境を整えることが、トップマネジメントの重要な役割とされています。
つまり、これからのISOでは「文書で示す管理」から一歩進み、
**“人の意識や行動をどう変えるか”**という、より本質的な品質マネジメントが求められる時代になったといえます。
🔹 まとめ:品質文化は「人の力」で築かれる
品質文化とは、ルールや手順で動く組織ではなく、
**“品質を守り・高める行動が社員の自然な習慣になっている状態”**を指します。
経営層の明確な姿勢、現場の声を尊重する風土、そして継続的な教育と称賛の仕組みがあってこそ、品質文化は根づきます。
ISO9001:2026の改訂を機に、「品質文化」を単なる新しい言葉として捉えるのではなく、
**“自社の品質意識をどう高めていくか”**という観点から、社内で話し合いを始めることが大切です。
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