令和グループ(ISOコンサルティング)

4.3 品質/環境マネジメントシステムの適用範囲の決定

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規格の要求事項

<規格要求事項の要点>

  1. 品質・環境マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,その境界及び適用可能性を決定しなければならない。
  2. 品質・環境マネジメントシステムの適用範囲は,文書化した情報として利用可能な状態(環境:利害関係者がこれを入手できるよう)にし,維持しなければならない。
  3. 適用範囲では,対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載しなければならない(品質)。
  4. 適用不可能な要求事項についての記載(品質)

 

適用範囲の決定

 

適用範囲を決めるとは、その境界及び適用可能性を決める事です。

境界とは、適用されるところとされないところの境はどこか、即ち、適用の対象となるサイト(所在地)や組織を決めることです。組織は、その境界を定める自由度および柔軟性を持ちますが、利害関係者から見た場合の環境マネジメントシステムへの信ぴょう性に大きく影響することに注意が必要です。

適用可能性とは、適用の対象となる活動や製品・サービスの範囲を決めることになります。組織がいくつもの種類の製品・サービスを提供している場合、必ずしもすべての製品・サービスを含めず、そのうちのどれを含めるかを組織が決めることができます。しかし、顧客から見た場合、組織が含めることを期待している製品・サービスについては含めることが望まれます。

適用範囲の設定を、著しい環境側面をもつ若しくはもつ可能性のある活動・製品・サーピス・施設を除外するため、又は順守義務を逃れるために用いないほうが良いと考えられます。

 

外部及び内部の課題の考慮

 

近年、新型コロナウイルスや米中摩擦など経営環境はめまぐるしく変化している中、これらの外部に起因する課題、そして能力ギャップなど組織が克服すべき内部の課題などを明確にして、戦略的方向性を決めることの重要さが増してきています。これらの状況を踏まえ、重要と考えられるところを含めるようにすることが望まれます。

 

利害関係者の要求事項の考慮

 

製品及びサービスを提供する顧客や、規制当局などの密接に関連する利害関係者の要求や期待を明確にし、適用範囲を決めます。

例えば、JIS Q 14001:2015 附属書A4.3には、「適用範囲の設定を、著しい環境側面をもつ若しくはもつ可能性のある活動・製品・サーピス・施設を除外するため、又は順守義務を逃れるために用いないほうがよい」とあります。

 

適用不可能な要求事項(ISO9001:2015)

 

規格の要求事項の内、適用が不可能な要求事項は、その正当性を示したうえで、即ちその要求事項が「組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力又は責任に影響を及ぼさない場合」に限り、適用不可能を表明しても良いでしょう。

(設計・開発)

「設計・開発」を適用不可能な要求事項としている事が多くあります。設計機能がなく製造だけを行っている組織では、設計・開発の要求事項を適用したくても適用できません。この場合、設計・開発の要求事項を適用しなくても、製品及びサービスの顧客要求への適合に関する組織の能力には影響しない。このように、組織の権限の範囲を越え、かつ、現実に行っていない領域に関する要求事項が適用されない要求事項です。

ISO9000:2015には、設計・開発とは、「対象に対する要求事項を、その対象に対するより詳細な要求事項に変換する一連のプロセス」とされています。

従い、製品の設計・開発は適用不可能であるが、例えば建設業において、施工を請け負っている会社において、建築物の設計は顧客が実施し、施工方法を自社で決めている場合に、施工方法の決定が保証すべき品質に影響を与える場合には、この規格でいう設計・開発に該当します。

 

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