令和グループ(ISOコンサルティング)

ISO9001・ISO14001:2026(DIS)改訂に備える-中小企業のための「最初の一歩」実務ガイド

ISO9001・ISO14001:2026(DIS)改訂に備える-中小企業のための「最初の一歩」実務ガイド

 

 

ISO9001およびISO14001の2026年改訂に向けて、
「何か対応しなければいけないことは分かっているが、何から始めればよいのか分からない」
という中小企業は少なくありません。

 

本記事では、
**ISO規格改訂に初めて向き合う企業でも無理なく進められる
「最初の一歩」**に焦点を当て、

  • 今、最低限やるべきこと
  • やり過ぎなくてよいこと
  • 審査や顧客対応で評価されやすい考え方

を実務目線で整理します。

 

 

1. ISO規格改訂対応で中小企業が陥りやすい誤解

 

まず、よくある誤解を整理しておきます。

 

誤解①「すぐに新しい文書や手順が必要」

現時点では不要です。

DIS(国際規格原案)段階では、
細かな要求事項が確定していません。

 

今必要なのは、
考え始めている状態”を作ることです。

 

誤解②「大企業レベルの脱炭素対応が求められる」

→ そこまでは求められていません。

 

ISO9001・ISO14001ともに、
企業規模・業種・事業内容を考慮することが前提です。

 

中小企業には、
中小企業なりの合理的な対応が評価されます。

 

 

2. 最初の一歩①|改訂内容を「自社目線」で整理する

 

最初に行うべきは、
規格本文を読むことではありません。

 

やることはシンプルです

 

以下の3点を、社内で整理します。

  1. ISO9001・ISO14001のどちらを取得・運用しているか
  2. 改訂で話題になっているテーマ(気候変動・生物多様性など)
  3. それが自社に「関係ありそうか、なさそうか」

 

この整理だけでも、
「規格改訂を把握している」証拠になります。

 

 

3. 最初の一歩②|気候変動・環境テーマを経営課題として整理する

 

特にISO14001では、
気候変動を経営視点で捉えているかが重要になります。

 

難しく考える必要はありません

 

例えば、

  • 夏場の猛暑で作業効率が落ちている
  • 電気代・燃料費が上がっている
  • 顧客から環境配慮の要請が増えている

 

これらはすべて
気候変動に関連する経営課題です。

 

👉 「すでに影響を受けていること」を
 整理するだけで十分です。

 

 

4. 最初の一歩③|既存の取組みと結びつける

 

新しい活動を始める必要はありません。

 

すでに行っていることを見直す

  • 省エネ活動
  • 設備更新
  • 作業環境改善
  • 安全・品質向上活動

 

これらを、

「ISO規格改訂(2026)に向けた対応の一部」

として位置づけます。

 

ISO審査では、
「やっているか」より「どう整理しているか」
が評価されます。

 

 

5. 最初の一歩④|簡単な“見える化”を行う

 

おすすめなのは、
A4・1枚程度の簡易整理資料です。

 

例:整理内容

  • 改訂で注目されるテーマ
  • 自社への影響(リスク・機会)
  • 現在の対応状況
  • 今後の検討事項

 

会議議事録やメモ形式でも問題ありません。

👉 完璧な計画書は不要です。

 

 

6. ISO9001・ISO14001それぞれの視点での初動対応

 

ISO9001(品質)

  • 気候変動や外部環境変化による
    納期・品質リスクを把握しているか
  • 顧客要求の変化を認識しているか
  • 供給停止リスクを考慮しているか

 

ISO14001(環境)

  • エネルギー使用や環境影響を把握しているか
  • 気候変動・生物多様性を
    環境側面として検討しているか
  • 法規制・社会的要請を意識しているか

 

👉 「検討している事実」が何より重要です。

 

 

7. 今はやらなくてよいこと(重要)

 

以下は、今すぐやらなくても問題ありません。

  • 数値目標の設定
  • 詳細なCO₂算定
  • 大規模な手順書改訂
  • 全社的な新ルール制定

 

これらは、
規格発行後でも十分間に合います。

 

 

8. まとめ|ISO規格改訂対応は「準備8割」

 

ISO9001・ISO14001:2026改訂への対応は、
特別なことをする必要はありません。

  • 改訂を知る
  • 自社との関係を考える
  • 今やっていることを整理する

お気軽にお問い合わせください。

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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