【ISO規格改訂(2026)全体像】-ISO9001・ISO14001は何が変わる?中小企業が今から理解すべきポイント

はじめに|なぜ「2026年改訂」は重要なのか
2026年に予定されている ISO9001(品質)・ISO14001(環境)の規格改訂 は、
これまでの改訂と比べても 中小企業の実務に与える影響が大きい改訂 になると見込まれています。
背景にあるのは、
- 気候変動への対応要請の高まり
- サプライチェーン全体での責任強化
- 形式的なISO運用から「実効性重視」への転換
といった、企業を取り巻く外部環境の大きな変化です。
「大企業向けの話では?」
「うちはそこまで求められないのでは?」
そう感じる方も多いかもしれません。
しかし今回の改訂は、取引先対応・認証維持・日常業務の進め方 に直結する内容が多く、
中小企業こそ早めの理解と準備が重要 になります。
この記事では、ISO9001・ISO14001:2026改訂の
全体像・スケジュール・押さえるべき考え方 を、
専門用語を極力使わずに解説します。
ISO9001・ISO14001「2026年改訂」の位置づけ
改訂は「突然変わる」ものではない
ISO規格の改訂は、次のような段階を経て進みます。
- WD(作業原案)
- DIS(国際規格案)
- FDIS(最終国際規格案)
- IS(正式発行)
現在(2025年時点)は、
ISO14001は改訂作業が先行 しており、
ISO9001もこれに続く形で進むと見られています。
つまり、
2026年に突然大きく変わるのではなく、すでに方向性は見え始めている
というのが実情です。
今回の改訂で共通して重視される考え方
ISO9001・ISO14001の両規格に共通する、
今回の改訂のキーワードは次の3点です。
① 気候変動を含む「外部課題」の明確化
これまで「形式的」に書かれがちだった
組織の状況(外部・内部課題) が、より重視されます。
特に、
- 気候変動
- 資源制約
- 法規制・社会的要請
- 取引先からの要求
といった外部環境が、
自社の事業・品質・環境にどう影響するのか を
説明できることが求められます。
② リスクと機会を「実務と結びつける」
リスクアセスメントや環境側面評価が、
「書類上だけ」になっていないかが、より厳しく見られる方向です。
- そのリスクは、実際の業務で意識されているか
- 対応策は、現場で機能しているか
- 見直しは行われているか
といった 運用の実態 が問われます。
③ サプライチェーン視点の強化
自社だけで完結するマネジメントから、
仕入先・外注先・顧客を含めた視点 への広がりが進みます。
中小企業にとっては、
- 取引先からの要求への対応
- 説明できる体制づくり
- 最低限のルール整備
が重要になります。
中小企業にとって「難しくなる」のか?
結論から言えば、
「書類だけでISOを回してきた企業ほど、難しくなる」
一方で、
「現場中心で運用してきた企業には、大きな負担増にならない」
という改訂です。
重要なのは、
- 立派な文書を作ること
- 専門用語を増やすこと
ではなく、
- 今やっている業務をどう説明するか
- 不足している点をどこまで補うか
という視点です。
今から中小企業がやるべき「最初の一歩」
現時点で、次の3点を整理しておくだけでも、
2026年改訂への備えとして十分なスタートになります。
- 自社に関係する外部環境(特に気候変動・取引先要求)を整理する
- 既存のリスク・環境側面が実務と結びついているか確認する
- 取引先から求められそうな説明事項を洗い出す
「まだDISだから様子見」ではなく、
今のうちに整理しておくことで、後の負担を大きく減らせます。
本シリーズについて
本シリーズでは、ISO規格改訂(2026)について、
- ① DIS段階で見えてきた具体的な改訂ポイント
- ② ISO9001とISO14001の違いと共通点
- ③ 中小企業が実務としてどう落とし込むか
を、テーマ別に解説していきます。
▶ ISO規格改訂(2026)全体の情報はこちら
【ISO規格改訂(2026)ハブページ】
(※このシリーズ全体を整理したページです)
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