ISO14001:2026で次に迷う瞬間―4.2「利害関係者のニーズと期待」は、どこまで整理すべきか?―

はじめに|「4.1は整理した。でも、その次で手が止まる」
前回の記事では、**4.1「組織を取り巻く状況」**について、
「全部洗い出す必要はない」「環境に関係する範囲で整理すればよい」という考え方を整理しました。
ところが、4.1を一通り見直した後、多くの組織が次にこう感じます。
4.2って、結局どこまでやればいいの?
利害関係者って、全部書かないとダメ?
ISO14001:2026(FDIS)では、
4.2「利害関係者のニーズと期待」が、4.1や6.1とより強く結びつく構造になっています。
そのため、2015年版と同じ感覚で進めようとすると、ここで迷いが生じやすくなります。
この記事では、
「やりすぎず」「不足にもならない」4.2の整理の考え方を、実務目線で整理します。
4.2で本当に求められていることは何か?
まず前提として押さえておきたいのは、
4.2は“関係者リスト作成”が目的ではないという点です。
ISO14001が4.2で求めているのは、次の流れです。
- 組織に関係する利害関係者は誰か
- その中で、環境マネジメントに関係するニーズ・期待は何か
- それらのうち、EMSとして考慮すべきものはどれか
つまり重要なのは、
「誰を挙げたか」よりも、「何をEMSに取り込むか」です。
よくある迷い①|利害関係者は、どこまで挙げるべき?
ここで多いのが、こんな悩みです。
- 顧客、取引先、従業員、地域住民、行政…
- 株主、金融機関、業界団体、近隣企業…
- 書き始めるとキリがない
結論から言うと、
「思いつく人をすべて書く」必要はありません。
ポイントは、次の2点です。
- その利害関係者は、環境側面や環境パフォーマンスに影響するか
- そのニーズ・期待は、EMSの中で対応を検討すべきものか
この視点で見直すと、
自然と「書くべき人」と「書かなくてよい人」が整理されてきます。
よくある迷い②|ニーズ・期待は、要求事項のように書くべき?
もう一つ多いのが、
ニーズ・期待を“要求事項レベル”で書こうとしてしまうケースです。
例えば、
- 「環境に配慮した製品を提供すること」
- 「法令を順守すること」
- 「CO₂を削減すること」
一見もっともらしく見えますが、
これらはすでにEMS全体で対応している内容と重なりがちです。
4.2では、
- その利害関係者が
- どのような点で環境に関する関心を持っているか
を、簡潔に言語化できていれば十分です。
細かい対応策や目標設定は、
この後の 6.1(リスク及び機会)や6.2(環境目標)で整理します。
4.1との関係|「状況分析」とどうつながるのか?
ISO14001:2026では、
4.1(組織を取り巻く状況)と4.2(利害関係者)が分断されていません。
例えば、
- 4.1で「気候変動」「資源制約」「地域環境への影響」を挙げたなら
- 4.2では、それに関係する
- 行政
- 地域社会
- 顧客
といった利害関係者の視点が自然につながります。
逆に言えば、
4.1で整理した内容を“別の切り口から見直す”のが4.2とも言えます。
新しいことを一から考える必要はありません。
ここまでやれば十分|4.2の“ちょうどよい着地点”
実務的には、次の状態になっていれば十分です。
- 利害関係者は、環境に関係する範囲で整理されている
- ニーズ・期待は、過不足なく簡潔に書かれている
- その結果が、6.1以降の検討に使える形になっている
逆に言えば、
- 網羅性を競う
- 立派な文章を書く
- 審査員向けに“完璧な表”を作る
必要はありません。
次に迷うのは、ここです
4.2を整理すると、次に多くの組織が立ち止まるのが、
6.1「リスク及び機会」です。
- 4.1・4.2で出した情報を、どう6.1につなぐのか
- 何を「リスク」「機会」として扱うのか
次回の記事では、
「ISO14001:2026で次に迷う瞬間―6.1は、どこから考え始めればよいのか?―」
をテーマに、同じ実務目線で整理します。
おわりに
ISO14001:2026では、
4.1 → 4.2 → 6.1 → 6.2 という流れを、無理なくつなげて理解することが重要になります。
スタート段階での考え方整理や、
「ここまでで十分」という判断基準を知りたい場合は、
スタートパッケージでの整理支援も参考にしてください。
🔙 シリーズ全体の考え方はこちら
ISO14001:2026で実務判断に迷いやすいポイントを、
規格解釈ではなく「自社の仕組みにどう落とし込むか」という視点で整理しています。
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