ISO14001:2026で次に迷う瞬間―6.1「リスク及び機会」は、どこまで洗い出すべきか?―

はじめに|4.1・4.2を整理した“次”で、急に苦しくなる理由
4.1「組織を取り巻く状況」、4.2「利害関係者のニーズと期待」。
ここまで整理できると、少し安心します。
ところが次の 6.1「リスク及び機会」 に進んだ瞬間、
多くの組織が、また立ち止まります。
- 「結局、何を全部出せばいいのか?」
- 「気候変動や生物多様性は、全部リスクにしないといけない?」
- 「機会(チャンス)って、何を書けば正解なのか?」
実務担当者が悩むのは、能力や理解不足ではありません。
“どこで止めてよいのか分からない”ことが、迷いの正体です。
よくある誤解|6.1は「全部出す箇条」ではない
6.1に関して、よく見られる誤解があります。
- 環境側面のように、網羅的に洗い出す必要がある
- 環境状態(気候変動・生物多様性など)は、すべてリスク化すべき
- 機会は、無理にでも前向きなことを書かなければならない
しかし、ISO14001:2026の6.1は、
「網羅」を求める箇条ではありません。
ここで求められているのは、
組織として、どのリスク・機会を
「考慮すべきもの」と判断したのか
を説明できることです。
ISO14001:2026における6.1の位置づけを整理する
6.1は、単独で考える箇条ではありません。
- 4.1:組織を取り巻く状況
- 4.2:利害関係者のニーズと期待
この2つで整理した内容を、
「では、どこに注意して運用するか?」に落とす
――それが6.1です。
言い換えると、
6.1は
「新しいネタを考える箇条」ではなく
「すでに整理した内容を、どう使うかを決める箇条」
ここを理解すると、作業の重さが一気に変わります。
「環境状態 × 組織の活動」で考えるという視点
ISO14001:2026では、
気候変動・生物多様性・汚染レベル・天然資源の利用可能性・生態系の健全性
といった環境状態への目配りが強化されています。
ただし、ここで重要なのは、
環境状態そのものを
すべてリスクや機会に変換すること
ではありません。
判断の軸は、次の掛け算です。
- 環境状態 × 組織の活動・意思決定・将来計画
この組み合わせによって、
「影響しそうなもの」「判断が必要なもの」だけを拾えば十分です。
「どこまでやれば十分か?」の実務的なライン
6.1で悩む組織に共通するのは、
やりすぎる方向に迷っていることです。
実務上の一つの目安は、次の通りです。
- そのリスク・機会は、経営判断や運用に影響するか
- 何も対策しなかった場合、説明できるか
- 既存の管理(法令順守・日常管理)で十分とは言えないか
これらを考えた結果、
- 「今回は対象外と判断した」
- 「現状管理で十分と判断した」
という結論でも、問題ありません。
重要なのは、「考えたうえでの判断」があることです。
「機会(チャンス)」で無理をしない
6.1で、特に苦しくなるのが「機会」です。
- 立派な環境貢献を書かなければならない
- 新規事業や技術革新を書かないといけない
そう感じてしまう組織も多いですが、
ISO14001が求めているのは、そこまで壮大な話ではありません。
例えば、
- 法規制動向を早めに把握できる
- 顧客要求への対応力が上がる
- 社内ルールの明確化でトラブルを減らせる
こうした現実的な視点も、十分に「機会」です。
判断に迷ったときの整理ポイント
6.1で迷ったときは、次の問いに戻ってみてください。
- これは「管理が必要な論点」だろうか
- それとも「知っておけばよい背景情報」だろうか
- 今回は見送るとしても、理由は説明できるだろうか
ISO14001:2026では、
完璧な一覧表よりも、納得できる判断理由が重視されます。
スタートパッケージとの関係
実務では、6.1は
「自分たちだけで考えると、視野が広がりすぎる」
箇条でもあります。
第三者と一緒に整理することで、
- やらなくてよいこと
- 今回は対象外とできること
が明確になり、作業量が大きく減るケースも少なくありません。
次に迷う瞬間へ
6.1を整理すると、次に必ず出てくるのが、
**6.2「環境目標」**の迷いです。
- どこまで数値目標にすべきか
- 目標にしないものは、どう扱えばよいのか
次回は、
「環境目標は、どこまで設定すべきか?」
をテーマに、引き続き整理していきます。
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ISO14001:2026で実務判断に迷いやすいポイントを、
規格解釈ではなく「自社の仕組みにどう落とし込むか」という視点で整理しています。
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