令和グループ(ISOコンサルティング)

判断に迷う瞬間|9.2―ISO14001:2026「内部監査」は、何をどこまで変えるべきか?―

判断に迷う瞬間|9.2―ISO14001:2026「内部監査」は、何をどこまで変えるべきか?―

 

 

ISO14001:2026への移行を考え始めたとき、
多くの組織が 9.2「内部監査」 で立ち止まります。

 

「内部監査って、今まで通りでいいの?」
「規格が変わるなら、監査のやり方も変えるべき?」
「環境状態まで監査対象に入れる必要があるの?」

 

9.2は、大きく変わったように見えにくい箇条です。
そのため、

  • 「特に変える必要はない」と考える組織
  • 「何か変えないといけない気がして不安になる」組織

に分かれ、判断に迷いやすくなります。

 

 

なぜ9.2で迷うのか

 

内部監査は、2015年版でもすでに確立している組織が多く、
「毎年実施している」「チェックリストもある」「記録も残している」
という状態が一般的です。

 

そのため、2026年版を読んでも、

  • 要求事項の文言は大きく変わっていない
  • 形式的には今の仕組みでも合っていそう

と感じやすいのです。

 

しかし一方で、2026年版では
「環境状態」や「組織を取り巻く変化」 がより重視されるようになりました。

 

ここで、次の疑問が生まれます。

「内部監査でも、そこまで見ないといけないのでは?」

この“違和感”こそが、9.2で迷う瞬間です。

 

 

ISO14001:2026で内部監査に求められる視点

 

ここで大切なのは、
内部監査の「やり方」を大きく変えることではありません。

 

ポイントは、
「何を確かめるための監査なのか」 という視点です。

 

2026年版では、内部監査においても次の点がより意識されます。

  • 組織が決めた方針・判断は、実務の中で本当に機能しているか
  • 環境状態に関する検討結果が、形だけで終わっていないか
  • 運用の中で、新たな気づきやズレが生じていないか

 

つまり、
「決めたことが、現場でどうなっているか」を確かめる役割 が、
これまで以上に重要になります。

 

 

9.1(監視・測定)との関係で見えてくること

 

9.2は、直前の 9.1「監視,測定,分析及び評価」 と深くつながっています。

  • 9.1で
    「何を見ていくか」「どんな指標で把握するか」を決める
  • 9.2で
    「その考え方や運用が、組織の中で定着しているか」を確認する

 

この流れができていないと、

  • 数値は集めているが、意味づけがされていない
  • ルールは決めたが、現場では形骸化している

といった状態が見逃されがちになります。

 

内部監査は、
結果を見る場”ではなく、“ズレに気づく場”
と捉えると、位置づけが整理しやすくなります。

 

 

内部監査で「やりすぎ」になりやすい注意点

 

9.2で迷った結果、次のような方向に振れてしまうことがあります。

  • 環境状態ごとに細かい監査項目を大量に作る
  • チェックリストを規格文言そのままで増やす
  • 監査のたびに、新しい評価軸を追加してしまう

 

しかし、内部監査は 教育の場でも、審査の代替でもありません。

 

大切なのは、

  • 組織として「確認したいポイント」が明確か
  • そのポイントが、実際の業務と結びついているか

この2点です。

 

 

判断の軸:9.2は「確認の深さ」を少し変えるだけ

 

ISO14001:2026への対応として、
内部監査で意識したい判断の軸はシンプルです。

 

「決めた判断が、今の業務に合い続けているか?」

  • 環境状態の整理結果は、実務と乖離していないか
  • 想定していなかった変化が起きていないか
  • 以前の判断を、そのまま使い続けてよい状態か

これらを確認する視点を、
今の内部監査に“少し足す”だけで十分です。

 

 

迷ったときの整理ポイント

 

9.2で判断に迷ったら、次の問いを自社に投げかけてみてください。

  • 内部監査で「確認したいこと」は何か
  • それは、9.1や6.1で決めた内容とつながっているか
  • 現場の実態を、監査でちゃんと拾えているか

 

ここが整理できれば、
内部監査を無理に作り替える必要はありません。

 

 

おわりに

 

ISO14001:2026の9.2は、
「新しいことを増やすための箇条」ではありません。

 

むしろ、

  • これまで決めてきたこと
  • 運用してきたこと

が、今の組織に合い続けているかを確かめるための箇条です。

 

内部監査を「変える」かどうかで迷うより、
「何を確かめたいのか」 に立ち返る。

それが、9.2で迷わないための一番の近道です。

 

 

次は、9.3(マネジメントレビュー)
ここでもまた、判断に迷う瞬間が待っています。

 

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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