令和グループ(ISOコンサルティング)

判断に迷う瞬間|9.3―ISO14001:2026「マネジメントレビュー」は、何をどう見直すべきか?―

判断に迷う瞬間|9.3―ISO14001:2026「マネジメントレビュー」は、何をどう見直すべきか?―

 

 

なぜ、9.3は毎回「形だけ」になりやすいのか

 

ISO14001の運用で、もっとも形骸化しやすい要求事項の一つが
9.3「マネジメントレビュー」かもしれません。

  • 毎年実施している
  • 議事録も残している
  • 審査でも大きな指摘は出ていない

 

それでも心のどこかで、
「これで本当に意味があるのだろうか?」
と感じたことはないでしょうか。

 

2026年版では、マネジメントレビューが
「仕組みを維持するための儀式」ではなく、
経営判断とEMSをつなぐ場
として、より強く位置づけられています。

 

 

2015年版からの流れと、2026年版での“迷いどころ”

 

2015年版以降、マネジメントレビューは次の考え方がベースになっています。

  • 組織を取り巻く状況(4.1)
  • 利害関係者のニーズと期待(4.2)
  • リスク・機会、環境側面、目標の達成状況

これらを経営の視点で定期的に見直す場が、9.3です。

 

そして2026年版では、ここに
**「環境状態」や「変化への対応」**という視点が、より色濃く重なってきます。

その結果、こんな迷いが生まれます。

  • 何をレビュー対象として整理すればよいのか
  • 毎年同じ資料で良いのか
  • 結論はどこまで求められるのか

 

 

判断に迷うポイント①

 

「インプット」は、すべて毎回レビューすべきか?

 

規格には、マネジメントレビューのインプット項目が列挙されています。
しかし、すべてを毎回同じ重みで扱う必要はありません。

 

重要なのは、
👉 「今期、何が変わったのか」
👉 「前回判断した前提は、今も有効か」

という視点です。

 

変化がなかった項目は「継続確認」で十分です。
一方で、次のような事項があれば、重点的に扱うべきです。

  • 外部環境・法規制の変化
  • 環境状態に関わる新たな懸念
  • 目標未達や運用上の違和感

 

 

判断に迷うポイント②

 

「アウトプット」は、必ず“結論”まで出す必要があるのか?

 

マネジメントレビューという言葉から、
「何かを必ず決めなければならない」と感じがちです。

 

しかし実務では、
**“即断”よりも“次につなぐ判断”**の方が重要な場合もあります。

 

例えば、

  • 継続して監視する
  • 次回までに追加情報を集める
  • 別の場で詳細検討する

 

こうした判断も、立派なアウトプットです。

重要なのは、
「何を、なぜ、どう扱うことにしたのか」
が記録として残っていることです。

 

 

判断に迷うポイント③

 

マネジメントレビューは「環境会議」なのか?

 

9.3は、環境部門だけの会議ではありません。

むしろ2026年版では、
経営判断の延長線上にEMSがある
という考え方が、より明確になります。

  • 経営の方向性と環境目標はズレていないか
  • 資源配分は妥当か
  • 今後の変化に耐えられる仕組みか

 

こうした問いを、経営者の言葉で確認する場
マネジメントレビューです。

 

 

9.3で迷ったときの、実務的な考え方

 

迷ったときは、次の一文を基準にしてみてください。

 

「このマネジメントレビューは、
来年のEMS運用に、何を残しただろうか?」

  • 新しい判断
  • 継続する前提
  • 見直すべき課題

 

どれか一つでも明確になっていれば、
その9.3は「機能している」と言えます。

 

 

おわりに

 

9.3は、EMSを“止めないための装置”

 

マネジメントレビューは、
完璧な結論を出す場ではありません。

 

組織とEMSが、環境の変化から取り残されないための装置
それが9.3の本質です。

 

「毎年やっているから」ではなく、
「次につなげるために、どう判断するか」。

 

その視点を持てた瞬間、
9.3は“作業”から“経営の道具”へと変わります。

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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