令和グループ(ISOコンサルティング)

「天然資源の利用可能性」とサプライチェーン戦略― 中小製造業が考えるべき供給リスクと機会 ―

「天然資源の利用可能性」とサプライチェーン戦略

 

 

1. はじめに:サプライチェーンと天然資源の関係

 

ISO14001:2026で注目される「天然資源の利用可能性」は、
単に自社がどれだけ資源を使っているかを確認する概念ではありません。

 

原材料、エネルギー、部品、輸送手段など、
サプライチェーン全体を通じた資源の安定性をどう捉えるかが重要になります。

 

特に中小製造業では、
・特定の原材料
・限られた仕入先
・海外調達や長距離輸送

といった条件が重なり、天然資源の制約がそのまま経営リスクにつながるケースも少なく

ありません。

本記事では、供給リスクと機会の両面から、実務的な整理視点を示します。

 

 

2. 供給リスクの実態分析

 

原材料供給停止リスク

(特定鉱物・化石燃料、輸送制約)

近年、以下のような要因で原材料の供給不安が顕在化しています。

  • 特定鉱物資源への依存(鉄鉱石、アルミ、レアメタル等)
  • 化石燃料価格の高騰や供給制限
  • 紛争・災害・気候変動による生産地への影響
  • 海上輸送・港湾機能の制約

 

中小製造業の場合、
「仕入先が止まれば自社も止まる」
という構造になっていることが多く、代替調達の選択肢を持たないリスクが顕在化しやすい点が特徴です。

 

市場価格変動リスクとコスト圧力

資源の利用可能性は「ある/ない」だけでなく、
価格変動という形でも影響を及ぼします。

  • 原材料価格の急騰
  • エネルギーコストの不安定化
  • 為替変動と資源価格の連動

これらは、環境面だけでなく
品質・納期・採算性にも影響し、
結果として事業の持続性そのものに関わります。

 

 

3. 機会としての資源利用戦略

 

循環資源・リサイクル資源の活用

供給リスクへの対応は、「守り」だけではありません。
例えば、

  • リサイクル材の活用
  • 再生可能原料への切替検討
  • 副産物・端材の再利用

といった取り組みは、
資源制約への耐性を高めると同時に、環境パフォーマンス向上の機会にもなります。

 

 

地産地消の資源調達

すべてを国内・近隣で賄うことは難しくても、

  • 一部資材を国内調達に切り替える
  • 輸送距離の短縮を検討する

といった視点は、
供給安定性と環境負荷低減を同時に考えるきっかけになります。

 

サプライヤーと協働した改善活動

重要なのは、サプライヤーを「評価対象」だけで終わらせないことです。

  • 供給リスク情報の共有
  • 資源制約に関する意見交換
  • 代替材料や工程改善の検討

といった協働は、
中小企業でも実現可能な現実的アプローチです。

 

 

4. ISO14001:2026視点でのサプライヤーマネジメント

 

環境方針(5.2)・利害関係者ニーズ(4.2)への反映

ISO14001:2026では、
外部環境や利害関係者の期待を踏まえたマネジメントが求められます。

  • 資源制約への社会的関心
  • 顧客からの安定供給要求
  • サプライチェーン全体での環境配慮

これらを踏まえ、
環境方針や目的の背景として「資源の安定利用」を位置づけることが考えられます。

 

評価基準の設定

(環境パフォーマンス・資源利用の安定性)

サプライヤー評価においては、次のような観点が参考になります。

  • 特定資源への依存度
  • 代替材料・調達先の有無
  • リサイクル・循環資源への対応状況
  • 環境配慮への取り組み姿勢

すべてを数値化する必要はなく、
定性的な評価項目として整理するだけでも十分に意味があります。

 

 

5. 実務担当者のためのチェックリスト例

 

資源供給の定量・定性チェック項目(例)

  • 主要原材料は何か
  • 特定資源への依存度は高いか
  • 調達先は複数あるか
  • 供給停止時の影響度はどの程度か
  • 価格変動が事業に与える影響は大きいか

 

サプライヤーリスク対応計画(例)

  • 代替調達先の有無を把握しているか
  • サプライヤーと定期的に情報交換しているか
  • 資源制約に関する課題を環境会議等で共有しているか

 

※「完璧な計画」ではなく、
現状を把握し、話題にできているかが第一歩です。

 

 

6. まとめ

 

「天然資源の利用可能性」は、
自社内の省資源活動だけで完結するテーマではありません。

 

サプライチェーン全体を見渡し、

  • どこにリスクがあるのか
  • どこに機会があるのか

を整理することが、ISO14001:2026で求められる実務的な対応につながります。

 

中小製造業にとって重要なのは、
できる範囲で構造を理解し、判断材料を持つこと。

本記事が、その整理の一助となれば幸いです。

 

 

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    この記事を書いた人

    野田博

    早稲田大学理工学部卒。住友金属工業株式会社にて製鉄所および本社勤務を経て、関連会社の経営に携わる。ISOの分野では、JQAおよびASRにて主任審査員を歴任(現役)。JQAにおいては審査品質・実績が高く評価され、TOP5%審査員として表彰された実績を持つ。対応規格はISO9001、ISO14001。現在は中小企業を中心に、実務に即したシンプルなISO導入・運用支援を行っている。

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