ISO14001:2026改訂|ライフサイクルの視点から見た気候変動・生物多様性とのつながり― 個別テーマを横断的に理解する ―

1. なぜ今、「横断的な理解」が求められているのか
ISO14001:2026 改訂では、
- 気候変動
- 生物多様性
といったテーマが、これまで以上に明確に意識されるようになっています。
一方で、多くの中小製造業では次のような声も聞かれます。
- 気候変動と生物多様性は、別々の難しいテーマに感じる
- どこまで対応すればよいのか分からない
- 個別に考えると負担が大きそうで不安
こうした戸惑いを整理する鍵になるのが、「ライフサイクルの視点」です。
ライフサイクルの視点で見ると、これらのテーマは別物ではなく、同じ流れの中で起きている現象として理解できるようになります。
2. ライフサイクルの視点とは「影響のつながり」を見る考え方
ライフサイクルの視点では、製品やサービスを次のような流れで捉えます。
- 原材料の調達
- 製造・加工
- 輸送・使用
- 廃棄・リサイクル
この一連の流れの中で、
- 温室効果ガスの排出(気候変動)
- 自然環境への影響(生物多様性)
が、同時に・連鎖的に発生しています。
つまり、
気候変動と生物多様性は、ライフサイクルの中で重なり合う「結果」
だと言えます。
3. 気候変動は、ライフサイクルのどこで起きているか
気候変動は、主に次のような場面で関係してきます。
- 原材料の採掘・生産時のエネルギー使用
- 製造工程での電力・燃料使用
- 輸送時の燃料消費
- 廃棄・焼却時のCO₂排出
これらはすべて、製品ライフサイクルの各段階に存在しています。
つまり、
「自社の工場の中だけ」ではなく、
調達先や、その先の工程まで含めた流れの中で考えることで、
気候変動との関係が見えてきます。
4. 生物多様性も、同じライフサイクルの中にある
生物多様性も、実は同じライフサイクル上で影響を受けています。
例えば、
- 原材料の採取により森林や水環境が変化する
- 工場排水や廃棄物が周辺の生態系に影響する
- 資源の大量消費が自然回復力を超える
これらはすべて、製品が生まれ、使われ、廃棄される過程の中で起きていることです。
気候変動と同様に、
生物多様性も「特別な環境活動」ではなく、
通常の事業活動の延長線上にあるテーマだと分かります。
5. 気候変動と生物多様性は「別々に対策しなくてよい」
ここで重要なのは、
気候変動対策と生物多様性対策を、別々に考える必要はないという点です。
ライフサイクルの視点で整理すると、
- エネルギー使用を減らす
- 資源を無駄にしない
- 廃棄物を減らす
- 調達先を見直す
といった取組は、
- 気候変動の抑制
- 生物多様性への配慮
両方に同時に効果を持つ行動になります。
ISO14001:2026 が求めているのは、
「高度で専門的な環境活動」ではなく、
自社の事業の流れを理解し、影響を意識することです。
6. 中小製造業にとっての「現実的な整理の仕方」
中小製造業の場合、次のような整理で十分です。
- 自社の製品・業務のライフサイクルを簡単に書き出す
- 各段階で
- エネルギーを多く使っていないか
- 資源を大量に使っていないか
- 廃棄や排出が発生していないか
- その結果として
- 気候変動
- 生物多様性
のどちらにも関係していそうな点を把握する
完璧な評価や数値化は不要です。
「つながりを意識できているか」が、最も重要なポイントになります。
7. ライフサイクルの視点は、個別テーマをつなぐ“共通言語”
ここまで見てきたように、
- 気候変動
- 生物多様性
- 資源の制約
- 環境リスクと機会
これらはすべて、
ライフサイクルの視点という一本の軸でつながっています。
ISO14001:2026 では、
個別テーマに振り回されるのではなく、
自社の事業を一つの流れとして理解することが、より重視されていきます。
まとめ:横断的に考えることで、環境対応は「無理なく」取り組める
ライフサイクルの視点で考えると、
- 気候変動
- 生物多様性
は、
「新しく増えた負担」ではなく、
これまでの事業活動を少し広い視点で見直すテーマだと分かります。
個別に構えすぎず、
やり過ぎず、
無理のない形で整理すること。
それこそが、
ISO14001:2026 改訂が中小製造業に求めている実務的な対応と言えるでしょう。
ライフサイクル視点を環境マネジメントに落とし込むために― 次のステップの考え方 ―
これまでの記事では、
「ライフサイクルの視点とは何か」
「ISO14001の中でどのように位置づけられているのか」
「実務では、やり過ぎずにどう整理すればよいのか」
そして、
「気候変動や生物多様性とどのようにつながっているのか」
を順に整理してきました。
ここまで読み進めていただいた方の中には、
「考え方は理解できたが、実際の環境マネジメントにどう落とし込めばよいのか」
「自社の場合、どこまで整理すれば十分なのか」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、ここから先は
“正解を知る”段階ではなく、“自社に当てはめて決めていく”段階に入ります。
ライフサイクルの視点は、理解しただけでは運用にはなりません。
自社の事業内容、業務の流れ、規模や体制に応じて、
どこまでを対象とし、何を重視するのかを整理していく必要があります。
その判断は、
インターネットの記事や一般論だけでは難しく、
環境マネジメントシステム全体とのバランスを見ながら考えることが欠かせません。
無理に範囲を広げすぎれば、形だけの運用になり、
逆に絞りすぎれば、規格の意図から外れてしまうこともあります。
この記事では、
ライフサイクルの視点を「環境マネジメントの仕組み」として定着させるために、
次に考えるべきステップとは何か
について整理していきます。
ブログで理解できる範囲と、
実際に一緒に考え、組織ごとに整理していく領域の違いを意識しながら、
無理のない次の一歩を見つけていただければと思います。
ライフサイクルの視点についての全体像はこちら
ライフサイクル視点は、気候変動や生物多様性と切り離して考えるものではありません。
これらの関係性も含めて体系的に整理したい方は、以下のハブページをご覧ください。
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