ISO14001初心者でも安心!環境マネジメントを機能させる「役割と責任」の明確化とは?
ISO14001に取り組む中で、「何をどこまで決めればいいの?」と悩むポイントのひとつが「5.3 組織の役割、責任および権限」です。
今回はこの要求事項を、できるだけ平易に解説しながら、現場で役立つヒントをお届けします。
◆ なぜ「役割・責任・権限」が重要なのか?
ISO14001の目的は、組織全体で環境への配慮を実践する仕組みをつくること。
ですが、担当者だけで完結できるものではありません。
現場でのムダの削減、法令順守、非常時の対応など、多くの業務が部門をまたいで関係します。
つまり、**「誰が・何を・どこまでやるのか」**をはっきりさせておかないと、どこかでボタンの掛け違いが起きてしまいます。
◆ たとえばこんなトラブル、ありませんか?
- 環境目標の進捗を誰もフォローしていなかった
- 廃棄物の引き取り業者に関するルールが不明で、違法処理の可能性が浮上
- 法改正に気づかず、対応が遅れた
- 異常が発生したのに、報告するルートが明確でなく、対応が遅れた
これらはすべて、「役割や責任が曖昧だった」ことに起因します。
◆ 【事例】ある製造業の改善例
ISO14001に初めて取り組んだA社(従業員45名、部品加工業)は、当初、環境に関する業務が「ついで仕事」になっていました。
ISOコンサルタントと協力しながら、5.3に基づいて役割・責任・権限を整理した結果、以下のような体制ができました。
役割 |
担当者 |
主な責任 |
権限 |
環境管理責任者 |
総務部長 |
環境マネジメントの全体統括 |
各部署への指導と改善要求 |
排水管理 |
製造課係長 |
日次での排水点検と記録 |
現場への是正指示権 |
廃棄物管理 |
工務課主任 |
廃棄物の分類・処理業者との調整 |
処理ルートの決定権 |
教育担当 |
総務課 |
新人研修と年次教育の実施 |
全社員への教育実施権限 |
このように表形式で文書化することで、「誰が何をやるのか」が明確になり、**環境管理が“動き出した”**実感を持てたとのことです。
◆ 実務に活かすヒント
- 「日常業務の延長線」で考える
→ 新しい仕事を無理に増やすのではなく、すでにやっていることを再確認するのがコツです。
- 文書化はシンプルに
→ 表形式がおすすめです。紙1枚で見渡せる形がベスト。
- 教育で全員に周知する
→ 一部の担当者だけでなく、社内全体に「自分の関係する役割」を伝えることが重要です。
◆ まとめ
ISO14001の「5.3 組織の役割、責任および権限」は、組織が環境マネジメントを確実に実行するための土台です。
特に中小企業では、「できるだけシンプルに、現場になじむ形で役割分担を行うこと」が成功のポイントになります。
▶ 次回予告
次回は、「6.1 リスク及び機会への取り組み」について、よくある誤解と実務的な進め方をご紹介します。
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