【環境マネジメントの基礎】6.1.2 環境側面とは?~重要な環境リスクを見逃さないために~
ISO14001では、環境負荷の低減や持続可能な社会の実現を目指して、企業が計画的に環境への影響を管理することを求めています。その中でも要となるのが「6.1.2 環境側面」の要求事項です。
この記事では、「環境側面とは何か?」「どうやって特定・評価するのか?」を、事例を交えてわかりやすく解説します。
◆ 環境側面とは?平たく言えば「環境に影響を与える活動」
「環境側面」とは、あなたの会社の活動・製品・サービスが、環境に影響を与える“きっかけ”となる要素のことです。
たとえば、
- 工場で使用する電力 → CO₂排出の原因
- 塗装作業で使う有機溶剤 → 大気汚染の原因
- 緊急時の油漏れ → 土壌や水質汚染のリスク
このように、「環境にどう影響を与えているか」という“入り口”を見つけるのが、環境側面の特定です。
◆ 規格が求めている具体的なこと
ISO14001の6.1.2では、以下の手順が求められています:
① 活動・製品・サービスを洗い出す
自社で管理していること、または影響を及ぼせるものすべてが対象です。
② 通常時・異常時・緊急時も含める
日常の作業だけでなく、故障や火災など「いつもと違う状況」も考慮する必要があります。
③ 環境への影響を評価する
たとえば、「電力の使用」が多ければ、CO₂排出量が多くなり、環境への影響も大きくなります。
④ 著しい環境側面を決める
影響が大きい、法令に関わる、利害関係者が注目しているなど、特に重要なものを「著しい環境側面」として扱います。
⑤ 適切な管理と継続的な見直し
決定した著しい環境側面については、目標を立てて、改善・監視し、状況に応じて見直す必要があります。
◆ 【事例紹介】金属加工工場での環境側面の特定
とある中小の金属加工会社では、次のように環境側面を整理しました:
活動内容 |
環境側面 |
環境への影響 |
著しいか? |
加工機の稼働 |
電力の使用 |
CO₂排出 |
○ |
洗浄工程 |
有機溶剤の使用 |
揮発性有機化合物の放出 |
○(法規制対象) |
梱包作業 |
段ボールの使用 |
資源消費 |
△ |
火災時 |
消火剤・油漏れ |
水質汚染・土壌汚染 |
○(緊急対応要) |
こうして洗い出すことで、どこに環境リスクが潜んでいるかを把握でき、優先的に対策すべき項目が明確になります。
◆ 著しい環境側面の判断基準は?
著しい環境側面を特定する際は、以下のような視点が役立ちます:
- 法規制が関係しているか
- 自社の環境方針と関係があるか
- 利害関係者(地域住民、取引先など)から注目されているか
- リスクや機会に関係しているか(6.1.1と連動)
定量的な判断基準(例えば「CO₂排出量が年間10トンを超える場合」など)を設定すると、より実効性の高い仕組みになります。
◆ 環境側面の管理が、経営リスクを減らす
環境側面をしっかり把握・管理しておくことは、単に「ISOのため」ではありません。実際には、以下のような経営的メリットがあります:
- 法令違反の未然防止(→罰則や風評リスクの回避)
- 社会的信頼の向上(→取引先や金融機関との関係強化)
- コスト削減(→エネルギーや資源の無駄の発見)
◆ まとめ:環境側面の見える化は第一歩
ISO14001の6.1.2は、環境マネジメントの出発点とも言える重要な項目です。
まずは「どんな環境影響があるか」を可視化し、「何が重要か」を見極めることが、効果的な改善やリスク対策につながります。
▼ 次回のブログ予告
**「著しい環境側面にどう対応する?~目標設定・管理・改善の進め方~」**を予定しています。
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