ISO14001コンサルタントの視点による、実務で役立つ解説|6.1.3 順守義務とは?法律だけじゃない「守るべきこと」の整理と対応方法
ISO14001の中でも、企業にとって重要な項目の一つが「6.1.3 順守義務」です。
でも、「順守義務って法律を守るってことでしょ?当たり前では?」と思われる方も多いかもしれません。
ところが、**単に“守る”だけでなく、「整理し、仕組みに落とし込み、継続的に評価する」**ことが求められているのです。
この記事では、6.1.3の内容を分かりやすく説明し、実際の現場での活用イメージも交えて解説します。
■ 順守義務って、具体的に何を指すの?
ISO14001における「順守義務(compliance obligations)」は、次の2つを含みます。
- 法令・条例など、外部から与えられた義務(強制)
- 契約や業界ルール、自社が自ら定めた方針など(任意)
つまり、法律だけでなく、会社が「自分で守る」と決めたことも順守義務に含まれるというのがポイントです。
■ 6.1.3で求められていること(要点まとめ)
規格では、大きく3つのことが求められています。
① 順守義務の特定
自社の製品・サービス・活動に関わる、あらゆる「守るべきこと」をリストアップします。
📌 例:
- 廃棄物処理法(廃プラ・金属くず)
- PRTR法(有害化学物質の排出)
- 大気汚染防止法(塗装工程のVOC)
加えて、
- 顧客との契約書に記載された「環境条件」
- 社内の環境方針やガイドライン
なども含まれます。
② 環境側面との関連付け
特定した順守義務が、自社の「どの環境影響(=環境側面)」に関わるのかを明確にします。
📌 例:
「騒音規制法」は、「機械稼働による騒音」という環境側面と関係。
「産業廃棄物処理法」は、「金属くずの保管・処分方法」に関連。
③ 順守状況の評価と維持
決められたルールを守れているか、定期的にチェック(評価)する仕組みが必要です。
守れていなかった場合は、原因分析と是正対応を行います。
📌 例:
- 月次の「法令順守チェックリスト」による確認
- 廃棄物保管場所のラベル表記ミスを是正
- 社員向けのルール再教育の実施
■ 現場での実践:ある製造業の事例
ある中小の金属加工会社では、廃液処理について「自社で処理せず、業者任せ」にしていたため、
「処理業者の許可証を定期的に確認していなかった」という指摘を受けました。
この会社は、「処理委託=安心」と思い込んでいたのです。
そこで、処理委託契約や許可証の有効期限管理を行うしくみを整備し、担当者による定期確認をルール化。
その後の審査では「改善の好事例」として評価されました。
■ なぜ順守義務が重要なのか?
企業が環境関連の法律や契約に違反すると、次のようなリスクがあります。
- 罰則・指導・営業停止
- 顧客からの信頼低下や取引停止
- メディア報道による風評被害
一方で、順守義務を適切に管理すれば、企業の信用力アップや取引拡大のチャンスにもつながります。
■ まとめ:順守義務=“リスク管理と信頼の土台”
項目 |
内容 |
特定 |
守るべき法律・契約・ルールをリスト化する |
関連付け |
環境側面と順守義務の関係性を明確にする |
評価・対応 |
守れているか確認し、違反があれば改善する |
順守義務は、ISOの中でも実務に直結する重要ポイント。
「守るべきことは何か」「守れているか」を常に見直すことが、健全な企業運営の基本です。
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