ISO9001コンサルタントの視点による“ISO9001”序文(プロセスアプローチ、一般)のわかり易い解説

ISO9001を初めて読むと、「プロセスアプローチ」という言葉に戸惑う方も多いのではないでしょうか?
この記事では、ISO9001の序文に記載された「プロセスアプローチ」の考え方を、現役ISOコンサルタントの視点からやさしく解説します。
1. 「プロセス」ってそもそも何?
ISO9000(基本及び用語)では、プロセスを次のように定義しています:
「インプットを使用して意図した結果を生み出す、相互に関連するまたは相互に作用する一連の活動」
英語辞典では「過程」「工程」「方法」などと表現され、製造業に限らず、あらゆる業務に関わる考え方です。
✔ プロセスの具体例:
| 区分 | プロセスの例 | 
| 工程 | 製造プロセス | 
| 業務 | 請求書発行プロセス、品質管理プロセス | 
| 仕事 | 材料準備プロセス、営業プロセス | 
| 作業 | 鉄骨組立プロセス、検査プロセス | 
| プロジェクト | 新製品開発プロセス | 
2. プロセス同士の“つながり”が大切
企業の業務は、複数のプロセスが連携して成り立っています。
たとえば:
受注 → 設計開発 → 製造 → 検査 → 梱包・出荷
このように、あるプロセスのアウトプットが次のプロセスのインプットになるのが一般的です。
ISO9000でも以下のように述べられています:
「プロセスへのインプットは、通常、他のプロセスからのアウトプットであり、また、プロセスからのアウトプットは、通常、他のプロセスへのインプットである。」
つまり、各プロセスが連携し、組織全体で価値を生み出す“流れ”をつくっているのです。
3. 「プロセスアプローチ」とは?
✔ 全体最適を目指す考え方
プロセスアプローチとは、各プロセスを個別に管理するだけでなく、それらをつなげて全体最適を目指す考え方です。
✔ 効率化と品質向上を両立
各プロセスの効率化(コスト削減)と、アウトプットの質(品質向上)の両立を図りながら、クレーム削減や生産性向上へとつなげていきます。
4. よくある誤解:検査でなんとかするのは“応急処置”にすぎない
たとえばクレームが多発する企業で、出荷前の検査を強化して対応するケースがあります。
これは一時的には効果がありますが、根本的な解決にはなっていません。
なぜなら、不良品を「作らない」体制が整っていないからです。
5. “品質は工程で作りこむ”という発想が重要
各プロセスで手順や合格基準を明確にし、次工程に不良品を渡さない仕組みをつくること。これがプロセスアプローチの核心です。
各プロセスでの最適化を積み重ねることで、組織全体の最適化につながり、クレーム減少・生産性向上へとつながります。
6. プロセス管理に役立つ「タートル図」
プロセスを具体的に管理する方法として、「タートル図」の活用が推奨されています。
| 項目 | 説明 | 
| プロセス名 | プロセスの名称と責任者(プロセスオーナー) | 
| インプット | 原材料や前工程のアウトプットなど | 
| アウトプット | 製品、文書、記録など | 
| 人的資源 | 必要な要員、スキル、教育履歴など | 
| 物的資源 | 設備、ツール、ITシステムなど | 
| 実施手順 | 作業手順書、作業基準 | 
| 評価指標 | アウトプットの評価基準(例:検査基準) | 
✔ タートル図の運用ポイント
- 各プロセスごとに作成して抜け漏れを防ぐ
- 関係者で一緒に作成すると効果的
- 設備・手順・人員の変更時に随時見直す
まとめ:プロセスアプローチは、組織全体の“流れ”を最適化する鍵
ISO9001のプロセスアプローチは、単なる「手順の整備」ではありません。
業務のつながりを俯瞰して、全体最適を目指すマネジメントの考え方です。
品質を作り込むためには、各プロセスの定義・管理・改善を地道に積み上げていくことが不可欠です。
▶ 今回の内容が、貴社のISO運用に少しでも役立てば幸いです。
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